2008年3月13日木曜日

やはりシナコ

最近、ママは出稼ぎに忙しい。どうやらコネ通の存在自体忘れているんじゃないかと思う。
同時に僕の存在も忘れていると思う。

グリーンカードの面接で、2月にみんなが日本に行っていた間はちょっぴりさびしかったけれど、それでも1日に2回も、誰かが訪問してくれて、僕と遊んでくれた。だからあの10日間は良かった。

シナコなんて、普段家にいたって、いろいろと理由をつけて、僕を散歩に連れて行ってくれない。「散歩に行っていない暦2ヶ月」と言っても過言じゃない。キニコがいれば、雪が降ろうが槍が降ろうが、散歩に連れて行ってくれる。(必ずしも、極寒の日に散歩に出たいわけじゃないけれど、めったに機会がないもので、そんな寒さでも僕は我慢して喜んでいる振りをする。でもそのうち前足がかじかんで、動けなくなるのだ。)

でもシナコと来たら、「今日はこんなに宿題があるから無理」「今からピアノの練習するからだめ」「レポートの締め切りが明日だから」と、適当な理由をあげつらって逃げようとする。ママもママで、都合の悪いときは、「ジョダは、私の犬じゃない。世話しないなら誰かにあげれば?」といい、調子のいいときは、「子供の中で“息子”が一番かわいい!」とか言うのだ。要は、僕はこの家族にアビューズされているのだ。人間だったらシェルターに駆け込めるのに、僕の場合はシェルターに駆け込んだ後、生命の保証がないだけに我慢している。

というわけで、シナコに恨みがあるので、シナコの失態を暴露しよう。今週の月曜、パパもママも泊りがけの仕事で家にいなかった。つまりシナコと僕と二人ぼっち。月曜の夜、シナコは体操部のディナーパーティーと称して、遅くまで帰宅しなかった。僕は晩御飯抜かもと不安だったが、それは覚えていてくれた。

翌朝、6時過ぎごろから僕はおちおち寝ていられなかった。というのも、パパとママが交代で1分おきに電話を鳴らすのだ。でもシナコは起きない。ママは留守電に向かって叫ぶ。「シナコー!えー加減に起きなさい!何時だと思っているのよ! 学校に遅れるよ!」 これが7時前まで続いた。パパとママはどうやらその後は電話ができない状態になったのか、遅刻が確定したからか、そこで電話はぴたっとやんだ。その後は30分に一度くらいママからの電話が鳴る。それでもシナコはまだ起きない。日曜から夏時間で時差ぼけってのもあるけれど、ここだけの話、あいつは天然にぼけているのだ。

9時前、とうとうシナコは電話で目を覚ました。この電話は学校からかかってきたもの。
「シナコさん、今日は州の統一テストの日ですよ!」

シナコの焦りようったら、ざまあみろってんだ。でも僕は急に心配になってきた。あせって、僕をトイレに庭に出すのも、朝ごはんをくれるのも忘れて、出かけてしまうのではないかと。でも、直後にママからも電話があって、「あんたが遅刻するのはいいけど、ジョダの世話だけはちゃんとしていってよ!」と釘を刺してくれた。いいとこあるね。

果たして、シナコは半泣きになりながらも、タクシー会社に電話し、待っている間にちゃんと僕のトイレとごはんの世話をして、着替えて出ていった。テストのほうは、後日追試を受けるらしい。

ところで、その日の午後、キニコが春休みで帰ってきてくれた。僕は当分さびしい思いをしないで済む。

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