2008年10月23日木曜日

デポジション・デビュー

今日、初めてデポジションの通訳をした。
これまでにも何度か、デポの通訳の打診はあったのだが、経験がないため断ったり、あるいは経験がないことで最終的には依頼されなかったりした。

このあたりでは結構デポの通訳需要があるので、機会があればやってみたいと常々思っていた。今回の仕事は時間も短いし、それほど込み入った内容ではなさそうなので、挑戦してみることにした。

日本の皆さんにはデポジションという言葉は馴染みがないと思うので少し解説すると、デポジションは辞書で引くと宣誓証言とか宣誓供述とあるが、正しくは「証言録取」と訳すようである。

デポジションはたいていが弁護士事務所で行なわれる。通常は、証言を求める側が場所を用意するらしい。

アメリカの民事訴訟では、デポジションで得られた当事者や第三者の証言を、「証拠」として裁判所に提出することが出来る。そのため、デポジションでの証言は正式な記録に残されることになる。

・・・実は、このことを、私は今日弁護士事務所に着くまで知らなかった。

デポの場所となる部屋に入ると、速記タイピストとビデオ撮影担当者が既に到着していた。勿論、さも当たり前のように平然と彼らと握手したのだが、内心は「うゎ、全部、取られるんやんか・・・」とびっくりしていた。つまり、今日のデポが証拠として採用される場合は、法廷に私の声が流れるわけだ・・・。

そして、もうひとつ知らなかったこと。デポが始まる前に証人が「真実の全て、真実のみを述べる」と宣誓することは知っていたが、まさか証人よりも先に自分が宣誓しなくちゃいけないとは知らなかった。

手順として、速記タイピストは、証人を宣誓させる以前に、「本訴訟において、行政・司法通訳における倫理規定と専門家としての責任に基づいて、技術・判断・能力の最善を尽くし、正確、完全、かつ公平な通訳を行うこと」を通訳者に右手を挙げて宣誓させるのである。

でもデビューはまずまずの成功でありました。

ただ、ひとつつまづいた言葉がある。complaintと聞いて、品質の仕事をしていた私の頭に最初に浮かんだ言葉は「苦情」。そして「文句」。でもこの場合はその言葉じゃないよ~と言うのは分かってたんだけど、思い浮かばない。辞書を引いてようやく「申し立て」と言ったが、「告訴」の方が正しかった。ごめんなさい。

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