2008年3月28日金曜日

グリニッチ

シナコは4月で16歳。
つまりシナコの友達の大半も今年16歳になるってこと。
アメリカでは、女の子の16歳の誕生日はSweet Sixteenと言って、それまでの誕生日とはちょっと違って特別な誕生日となる。

16歳の誕生日にキニコの場合は寮にいたし、その少し前に冬休みで家に戻っていたから、その時にプレゼントを上げて終わっていた。(未だに誕生日当日に何もしてくれなかったと文句を言っているが、「日本人はそんなものなの」ってのが私の言い訳。)シナコに関しても、我が家ではお金は掛けられませんと釘は刺してある。が・・・。

2月に、シナコの仲良しのアディティのSweet Sixteenの誕生会がグリニッチアベニュー近くのレストランが貸切で行われた。アディティはインド人で、3台分のガレージがある豪邸には、本国から連れてきた住み込みのメイドさんもいる。

今夜は、ジェンのSweet Sixteenパーティーが7時~11時の予定で行われる。会場は近くのハイヤット・リージェンシーホテルのリバーサイド・ボールルーム(日本風に言えば「XXの間」)。マスカレードパーティー(仮面舞踏会)だそうで・・・シナコは「ドレスがない!買いに行かなきゃ!」と言っているが・・・今夜だよ。どうせ買いに行っても、シナコに合うサイズなんてないのだから、あきらめて私の洋服でも着ていけばいいのに。ダサいっ言うに決まってるが。)

それにしても、グリニッチの裕福さにはため息が出るというか、あきれるというか。

来週末にはシナコが通う公立高校グリニッチ・ハイスクールのPTAの集まりがある。年に1度の資金を集めるためのパーティーなのであるが、行われる場所も学校ではなく、グリニッチ・カントリークラブ。

Fund Raising(資金集めのためのイベント)と言うのは、アメリカではどこの学校やクラブでもやる一般的なイベント。通常はベークセール(ケーキやクッキーを売る)や、チョコレートやキャンディーを売ったり、オハイオの学校のときは学校からカタログが配られて、掲載されている商品を友人知人に買ってもらう。(知人の少ない我が家では仕方なく自分たちでも購入していたが・・・。)学校でのイベントでは、地元の商店や会社が寄付を行って、それを商品にすることも珍しくはない。

去年はまったく注意も払っていなったのだが、今年、グリニッチ高校のPTAのイベントの内容をじっくりみてたまげた。PTAから来たメールでの案内状は下記のとおり。

*****

素敵な食事、音楽、知人との集いの夜!
服装:グラマラスな "Motown"(ダイアナロスをイメージして)ファッション、カジュアルな "Motown" でも、はたまたオフィスから直行の "Motown" ファッションでも、何でもOK。
食べ物と飲み物:おいしいご馳走+ビール、ワイン、ソフトドリンク(参加費に含む)+ キャッシュバー
ミュージック&ダンス: "ETA" - いかした Motown Band
サイレント&ライブ・オークション: コメディアンJane Condonを招いて。他では手に入らない信じられないアイテムの数々。カタログをご覧ください。当日参加できず代理のビッドをご希望の方はご連絡ください。

*****

で、カタログの内容を見てぶっ飛んだ! もちろん中には普通の内容(xxの商品券だの、xx会社贈呈のxxだの)もあるのだけれど、よその公立高校ではこんなものは出るまいと思えるオークションアイテムの数々。その一部をご紹介しよう。

+++++

RCAミュージックグループ、夏のインターンシップ
2008年の夏の2週間、RCAの役員の補佐として仕事をする。音楽に興味のある16才以上のグリニッチ高校の生徒限定。実際にミュージシャン(Alicia Keyes, Rod Stuwart, Christiana Aguillera....他数名の名前が列挙されている)と遭遇したり、録音やビデオ撮りなどの作業に立ち会えます。
寄贈者:RCA Music Group

Iron Chef(料理の鉄人)が作る10名分のディナー
自宅にIron ChefのZan Ng氏が来て料理をしてくれます。
価値:1000ドル分
寄贈者:Zan Ng

ブルース・スプリングスティンのコンサートチケット
ジャイアンツ・スタジアムで7月28日に開かれるコンサートのチケット5人分
席:セクション2の5列目!
寄贈者:スティーブ・ベネット

NBCのNightly Newsの裏舞台
番組プロデューサーのドンナ・バスが案内するニュースの裏舞台ツアー2名分:ニュースルーム、コントロールルーム、スタジオ、編集室。
寄贈者:ドンナ・バス

2008ワールドシリーズの全てのゲームのチケット4人分
寄贈者:マックヘイル・ファミリー

人気番組「アメリカンアイドル」のフィナーレ2晩を会場で見学、およびビバリーヒルトンホテル宿泊券2晩分を4名さまへ
寄贈者:RCA Music GroupおよびBeverly Hilton Hotel

人気番組Dancing with the Starsをスタジオで見学。その後、番組有名人やプロのダンサーとのひと時(1名分)*ロサンジェルスまでの航空券は含みません
寄贈者:Dancing with theStarsのTom Bergeron

コロラドの豪華な3ベッドルームヴィラで過ごす1週間
冬ならスキー、夏はゴルフ。コンシェルジュサービス、ハウスキーピング付き。プライベート・シェフも手配可能。
価値:7000ドル
寄贈者:エイミー&ビル・クラーク

アーチストリート(グリニッチ)のティーンセンターでのパーティー
息子や娘のために、ティーンセンターで100人の友達を招いてのパーティー。バールミツバやSweet Sixteen、卒業パーティーに。
価値:7500ドル
寄贈者:アーチストリート・ティーン・センター

Teen Kids Newsでのアンカー
マンハッタンのTeen Kids News(TV番組)のアンカーとして原稿を読む(高校生限定)。ジャーナリストの仕事を生で体験。
寄贈者:アル・プリモ

アリゾナ州スコッツデールでの5泊
xx誌ではアメリカのトップ75のゴルフコースのひとつ、△△誌ではトップ10ゴルフコースのひとつとして挙げられているブルダーズリゾートの豪奢な2ベッドルームでの5泊。
価値:4000ドル
寄贈者:ジョン&キム・ドナヒュー

人気番組「ジャッジ・ジューディー」(判事ジューディー)のVIPバックステージ・ツアー(16歳以上のこと)
ハリウッドでの収録中は法廷の中で番組を見学、収録後スタッフと判事とのランチ会食。
寄贈者:Judy & Jerry Scheindlin(←これは判事と旦那)

+++++

そうそう、カタログの中に、
「グリニッチ高校卒業式当日の特別駐車スポットのチケット 寄贈者:校長」
ってのもあった。こんなの売るな!って思うけれど、駐車場が十分にないので、早々と駐車場確保に学校に行かねばならないことを思ったら、お金出しても欲しいかも。

カタログの内容を見てお分かりのように、この高校のPTAや関係者には、メディアや芸能に深く関わりを持った人が多いらしい。マンハッタンに近いという土地柄もあるし、古くからこの辺りはお金持ちの別荘地と言うこともあるのだろう。

以前にも紹介したグリニッチにあるベルヘイブンという地区には、特に有名人が多いようだ。30年前の殺人罪で、当初から容疑者と目されていた中の一人、マイケル・スケイケルというロバート・ケネディーの甥(実際には妻の甥)が去年逮捕された。このスケイケルもベルヘイブンに住んでいた。この犯罪を題材としたTimothy Dumasの「Greentown」という本には「Murder and Mistery in Greenwich, America's Wealthiest Community」(アメリカで最も裕福なコミュニティー、グリニッチでの犯罪とミステリー)という副題が付いている。また迷宮入り事件となっていたこの事件を、自分なりに調査して書いたMark Fuhrmanの「Murder in Greenwich」(グリニッチで起きた犯罪)という本についてのアマゾンの編集コメントでは、ベルヘイブンを「グリニッチでのsuper-upper-scale(超高級)地区」としている。余談になるが、この事件の解決までに30年の月日を要した背景には、こうした有力者の前で法の平等が難しかったこと、加えてそれだけの年月が経過してようやくケネディー家の威力に衰えが生じたということなのだろう。

ちなみにブッシュ家もベルヘイブンにあった。ブッシュパパはここで育ち、公立ではなく近くの私立Greenwich Coutnry Day School(うちのお隣の息子はここに通っていた)に中学まで通い、高校からはマサチューセッツ州にある有名プレップスクールのアンドーバーで学んだ。息子もベルヘイブンで生まれたが、育ったのはテキサス。高校からは同じくアンドーバー。(ちなみにキニコはアンドーバーを受験したが見事に落ちた。)

なんだか話が脱線したが、自分たちの別荘の利用をオークションに出している人や、有名人・有力者との繋がりが伺われる内容で、グリニッチの裕福さを改めて思わされ、ため息が出てくる。不況の波も、この辺りではどこ吹くそよ風って感じなのだろうか。


<グリニッチ高校のオークションカタログ>
興味のある人は、直接ご覧ください
http://www.greenwichschools.org/uploaded/high_school/pta/MOTOWN_BENEFIT_CATALOG_2008_3-25.pdf

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

以前から文章が飛びきり上手だったけど、ほんと読みごたえがあって楽しみにしてます(^^)。
それに友人Tさんのお子さんがグリハイ生だった時のこともいろいろブログで読んでいたけれど、女の子だとまた違うね。

こないだ院の修了式があって、パーティの時に帰国子女の子が真っ赤なドレス着てました。もしかしたらSweet sixteen(またはProm?)できたのかなぁなんて思いました。