このところ全然散歩に連れてもらっていないので腐っていたけど、流石に今日はあんまりお天気が良くて、ママも家にいるのがもったいないと思ったか、ナナ(シナコは先週から家に来ているアメリカ人のおばあさんのことをこう呼んでいる)へのサービスの積もりか、車でビニーパークまで散歩に連れて行ってくれた。
「どうせ、知っている人には誰も会わないから、そのままの格好で大丈夫」と、ママは庭の掃除をしたそのままの格好で、ナナも髪型も整えずパパから借りたTシャツを着て出かけた。
駐車場所を探していると、気和がティナと散歩している。ママは一瞬自分の服装に目をやったようだが、車を止めて声を掛けた。
「ティナ! 噂をすればって言うけど、今朝、気和の話が出たところだったのよ。」
リバーサイドからグリニッチに引っ越すことになって、今の家は借り手を捜している最中。今朝、家を見たいというお客さんを連れて来た不動産屋の女性が、僕を見て言った。
「この犬と同じ種類の犬を飼っている人を知っているわ」。
「気和のことでしょ?」
しばし車の窓越しにおしゃべりしていたが、近くに車を停めて一緒に散歩することに。
驚いたのは以前会った時は中年太りだった気和が、とってもスリムになっていたこと。
「気和は痩せたね。」とママが言うと、ティナは「食べる量を減らして、栄養管理をして特別な餌に変えたの。逆にジョーダンは太ったわね。」
「そ、誰も散歩に連れて行かないから。」
そうだ、そうだ、もっとボクを散歩に連れて行ってくれ!
さらにおしゃべりは続き、ナナはオクラホマから来ていて、以前はアリゾナ州ツーソン(Tucson)に住んでいたと言うと、ティナの両親はツーソン生まれツーソン育ちだと言う。世間は狭い。
その後、ナナは足が痛いからと公園のベンチに腰掛けて本を読み、僕たちは一緒に公園の周りを歩くことに。
ママはティナになぜ引っ越すことになったのかを話している。
「キニコの学費が高すぎて。夫の見せかけの収入は多すぎて、奨学金もあまり出ないし。」
「本当よね。一番苦しいのは中流家庭よね。何ももらえないし。うちの夫が日本に仕事を見つけたのは、そう言うこともあるの。うちは奨学金は全くでない。学費と寮費と生活費を合わせると、年間5万ドルでしょ。税金は48%だから、実際には学費を払うにはそのために10万ドルの収入がなければならないってこと。」
そう聞いて、改めてアメリカの私学に子供を通わせるのは大変だなぁと思ったよ。何だ、ボクの予防接種なんか、キニコの学費に比べたらちっぽけじゃないか。しかも、ママの癒しになっている僕と、ママの怒りの根源にしかなっていないキニコと、どっちがお金の使い甲斐があるんでぃ。
公園にはガチョウの親子があちこちにいた。
リスだったらすぐにでも追っかけたくなるんだけど、なんだかコイツらには興味がわかなかった。
ボクが無視しているもんで、それを面白がってママは写真を撮っていた。
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