2009年3月11日水曜日

サルバドール (1)

ブラジルに出発した時は、雪で気温もマイナス。でも1週間経ったら随分暖かくなっていた。雪でどうなることやらと随分心配したけど、行きの飛行機は、遅れたものの、どうにかマイアミに到着。乗り継ぎ時間があまりなく、次のゲートが離れていたので焦った。ゲートに着いたら、とっくにボーディングは始まっていたけど、ぎりぎりで乗れた。しかしチェックイン荷物は、積み残しになったかも・・・と恐れていたけど、それも起きず、トラブル無しでサルバドールの土を踏めたなんて、ホント奇跡に近い! 日頃の行いがええからやな。

サルバドールは、ブラジルでも特にアフリカ系の人が非常に多い所で、マビオさんいはく75%はアフリカ系と言うことだったが、私たちが滞在していた旧市街や、買い物にでかけた市街地でも、ローカルの人の99%はアフリカ系だった。それゆえ、街の雰囲気も随分とリオやサンパウロのような他の大都市とは趣を異にしていた(行ったことないくせに!)。まさに異国情緒たっぷりでとっても楽しめた!

町を見渡すと、窓にガラスの入っていない、一見して貧困層が住んでいると思われる居住地が至る所に見られる。ひょっとしてここは気候が良いから、窓が要らないのかな、中流の人でもこんな家なのかしら、と一瞬思ってしまうくらい、それくらい、こんな家が建っている場所がたくさんある。しかもその直ぐ隣にはまともなアパート群があって、貧困層と普通の人たちが何食わぬ顔して共存している・・・そんな風に見えた。

いや、「普通の人」と言うのも、貧富の差が激しいこの国では恐らく下層階級に属するのだとは思うが。サルバドールに住む人の多くは中流から中の下じゃないかな。金持ちは郊外の、もっとセキュリティーの高い、壁に囲まれた大邸宅に住んでいるのでしょう。

でも、この一見して貧しい人たちの、何て明るくて親切なこと! 人の親切さでは、この国の人の右に出るところはないんじゃないか、とチカエと何度も感心した。

2年ほど前までは、まさにバイタリティーの塊で、私たち3人の中では一番元気だったマビオさんも、よる年波には勝てず、ここのところめっきり歩くのが遅くなり、腰も少し曲がって、まさに老人然となってしまった。見るからに弱々しい歩きの彼を見て、町の人たちが至るところで救いの手を差し伸べてくれる。段差があれば、手を取り、ちょっと待っていると、どこからか椅子を持ってきてくれる。誰もが道を譲ってくれる。大人も子供も一様に。(ただし、物乞いの子達の場合には、その後で小銭頂戴って言われるのだが。)

ある時、タクシーの停まりにくい往来で、手を挙げていたら、近くの出店のお兄さんが、ここで待っててという手振りをして、車道の中に飛び出して行った。タクシーに向かって両手を振って、私たちの居るところに導いてくれる。

とにかく一時が万事この調子。親切を絵に描いたような人ばかり。「体の不自由な人は、ブラジルに住んだらええんちゃうか」とチカエ。ところで、なぜか町行く人は、みんな元気で若い。車椅子も老人も見かけなかった。なんでやろ。平均寿命は短いのやろか。

もうひとつの驚きは、観光客相手のお店の人が全然しつこくないこと。あまり値段の交渉にも乗ってくれない。ちょっとは安くしても、それ以上は下げないし、じゃあと店を出ても、誰も追いかけて来ない。また、通りで何かセールスされても、要らないって言うと、すんなりあきらめる。本当にさらっとしているのだ。これは楽でいい。

唯一ちょっと困ったのが、小銭を頂戴と寄ってくる裸足の子供たち。勿論、洋服も汚れている。何も敷かずに直接地面に横になって熟睡しているのを見かけたから、家もなく、子供だけで通りで生活しているのかも知れない。この汚い身なりの子供たちも、地元のお店の人に邪険に扱われることもなく、カフェのおじさんも、彼らの背に手をやって、何か言葉をかけている。お店のお客さんにはしつこくするなよ、と言っているような気がした。

出かける前は、「危ないから気をつけろ」「絶対気ぃ抜くな」とコイオに何度も言われた。しかし拍子抜けするほど何もないし、警察は至る所にいるので、その旨をメールに書くと、「その油断が危ない! ブラジルは知らんけど、メキシコなんか、警察が一番危ないねんで」と返って来た。最後まで気は抜かなかったものの、やっぱり思ったほど危なくなかった、かな。

私たちが泊まっていたアパートは、旧市街の広場のひとつに面していた。広場が幾つか連なっているこの辺りが歴史的な地区でもあり、観光の中心。地元の人の話では、この広場とそれを囲む部分は安全だとのこと。それを越えて出かける場合は、気をつけろって言われた。マビオさんの足のこともあり、私たちの行動範囲は殆どこの範囲を超えることはなかった。

アパートの窓からの景色

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

家並みを見て、Orfeuの映画にでてきたそのまんまだなぁ~、と思いました。窓がないってのも、すごいですね。
私も一回ブラジルにいってみたいなぁ。

Jodako さんのコメント...

Orfeuって何だろうとネットで調べたけどわからなかった。映画のタイトル? ひょっとしてOrfeu Negero? ブラジルを舞台にした映画だったのかな。

そうなの。窓の穴は開いてるんだけど、窓枠もガラスも入ってない。

匿名 さんのコメント...

Orfeu Negroのリメイク版です。ブラジルが舞台で、リオのカーニバルのシーンもあったり。国や気候が違えば、家の様子もずいぶんちがうものですね(貧富の差もありますが)。うちのひきこもり君の家は、コンクリートのうちっぱなしだったそうです・・・というと、モダンな感じもしないですが、きっと全くそんなことなかったんだと思います(笑)

Jodako さんのコメント...

あ、新しいニックネーム? ひきこもり君かぁ。アルファルファかカイワレ大根になっちゃうよ。彼はバーチャルな世界に生きているのだね・・・。子供たちは元気? Kちゃんは楽しく学校に通ってるのかな。