2008年4月15日火曜日

アメリカの大学事情15

そろそろ、このネタやめたいんですが、キニコの進学先が決まるまで続きます・・・。

本日11校の受験結果がすべて出揃った。結果は6勝4敗、1補欠。最後まで待たされたミシガンが補欠。

日本の受験だったら、合格した中から行きたい学校を選んで終わり、となるところだけれど、合格通知を受け取ってから、またひと踏張りしなくちゃならなくて、ここから先は、神頼みならず、「金頼み」なのだ。

本人の望む大学に行けないのは可哀想だけれど、これはキニコに限った事情ではなく、よっぽどの大金持ち以外は、どこでも同じ。仲良しのベッカも、ロチェスター大学に行きたいけれど、クラークソンからのオファーが多いから、このままだと後者。現在ロチェスターとの交渉中。

キニコ曰く、「学校中で一番頭がいいエレン」が、軒並み不合格になったのは、外国人学生で奨学金が必要という事情からじゃないかと言う。エレンは、ハーバードの補欠、JHU合格ということらしい。

日本では想像しがたい、アメリカの大学進学にまつわる奇妙な事情を描くために、キニコが合格した各大学との事情をここで包み隠さずお話することにしよう。

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1.JHUの場合

まずは、第1志望のJHU。最初の「ゼロ回答」に対して、アピールする書類を提出したが、現段階では、書類を送ったのみで進展なし。実は昨日、ブリンモア大学のオープンハウスで出会ったあるお母さんに、「交渉は実際に会ってしたほうが良い。しかも本人主導でやるべき」と言われ、早速キニコはJHUに連絡すると言っていたが。来週の金曜日がJHUのオープンハウスなので、その時に奨学金の担当者との面会を取り付けようと言うのだが。それ以前に、アピールに対する最終回答が大学から送られてくるんじゃないかと・・・案じている。

2.ブリンモアの場合

さて、キニコの第2志望校であるペンシルバニア州にあるブリンモアという女子大のオープンハウスがこの週末にあった。2日目には私も参加した。オープンハウスとは「説明会」で、キニコは前日から泊りがけで、授業に出席したり、寮に泊まって、学生や教授と交流し、キャンパスライフをちょっぴり味わったのだ。

私がブリンモアに出掛けた目的は、もちろん奨学金の交渉。ブリンモアではFAFSA(連邦政府の奨学金)の申し込みを行っていることが奨学金対象者となる前提条件。ところが、社会保障番号のないキニコは、2度も申し込みを行ったのに、2度とも申し込み書が返送されてしまった。申し込み書を出す前に、再三FAFSAに電話で確認して、社会保障番号がなくても大丈夫と言われていたのに。2度目の申込書が返送されたのが先週の金曜日。社会保障番号のほうも、グリーンカードを申請した時点で同時に申し込みをしていたのだが、6週間を過ぎても届かないので、問い合わせたら、「申し込まれていません」とのこと。先週の火曜日、キニコを学校から連れ出し、慌てて再申請を済ませたところだった。

そんな事情で、最低条件のFAFSAの申請が完了していない事情を説明する必要があった。ところが、「これは本校のルールです、現状ではゼロですね」との冷いお言葉。更に「我が家は家賃分、収入が膨らんで見えます。家賃とそれに対する税金分は収入から引いてもらわなければ、実情を反映したものではない」と言うと、「じゃあ、それを抜いたら収入は幾ら?」と聞かれ、大体の額を伝えると、「うーん、これで行けば、奨学金は、6000ドルですね。」 愕然。6000ドルなんかじゃ状況は変わらない。ブリンモアも学費と寮費、その他の手数料を加えると48000ドル。教科書代を入れると49000ドル。どうやら第2志望も望みなさそうだ。

ひとつだけ喜ぶべきことは、家に戻ると、郵便受けにキニコの社会保障カードが届いていた!特別に早くプロセスしてくれたのか、とても早かった。昨夜、早速オンラインでFAFSAの申し込みを完了。それでも、我が家の特別な事情を考慮してくれない限り、もらえて6000ドル。無理っ。

3.ディキンソンの場合

ブリンモアに先立ち、先週の金曜からキニコは、同じくペンシルバニア州にある1783年創立のディキンソンという大学のオープンハウスに参加。同級生のリズが両親と参加するので、一緒に連れて行ってもらった。リズは既にこの学校に行くことを決めている。リズとキニコは、1年生の時のルームメート。当時ご両親の職業を聞いてびっくりした。「お母さんは弁護士、お父さんは科学者なんだって。」科学者なんていう職業、初めて聞いたよ。あぁ、リズんちは学費で頭を悩まさずに済む数少ない家庭なんだろうなぁ。

ディキンソンに話を戻すと、この学校からの奨学金回答は同じくゼロだった。そこで学校に電話し、我が家の台所事情を説明して再検討してもらうことになった。同時に、厚かましくも、「あの~、うちのキニコはメリット(成績優秀者)奨学金の対象にはならないでしょうか?」と尋ねてみた。聞くのはタダだからね。

担当者は、キニコの願書と成績を見ながら、
「・・・う~ん・・・B、B、B・・・・、たまにC有り・・・。お母さん、確かに学校のレベルが多少高いのは分かっていますけど、この成績ではねぇ」と、(そりゃ、厚かましいよ)と言わんばかりのニュアンス。
「ですよね~」と私。
「でも、キニコさんは、何か劇をプロデュースしたんですか? Toy StoryとかHerculesとかありますが。」
「ああ、あれですね。友達を集めて、何か上演したらしいですけど、詳しいことは知らないんです。」
「そうですねー。こっちの方面で可能性があるかもしれません。Performing Artの奨学金があるにはあるんですよね。でも、この程度では、どうかな・・・。でも、ま、本人と話してみましょうか?」
「それは、それは、ちょっとでも可能性があれば、是非ともお願いします」と、自然と電話の前で、もみ手をする私。
と言うことで、キニコは、この担当者と話をし、エッセイを書いて、今は、メリット奨学金がもらえるかどうかの回答待ち。(極めて望み薄し。)加えて、経済面での奨学金も再考してもらっているが・・・結果はいかに。

4.クラークソンの場合

ベッカのお兄ちゃんが行ったクラークソンというNY州にある小さな大学。授業料が3万ドル弱。寮費を加えても4万ドル弱と「破格」に安い。(これで破格に安いというところがもう感覚もオカシイ。)ベッカにもかなりのオファーをしてくれているようだが、キニコも15000ドルのオファーをもらった。正直言って、これだけで私はこの大学に決定!と思っているのだ。

この大学からは、Honors Programを志望するように推薦され、そのためのテストを受けたが、結果は「補欠」。キニコは、このプログラムに参加できるならこの大学に「行ってもいい」と、大きな口をたたいている。んなら、補欠じゃなくて、正式に合格しろよ!

5.マイアミ大学の場合

名前は州立っぽいのだが、私立。ファーストオファーは8000ドル。授業料と寮費を合わせて42000ドルなので、8000ドルでは無理。だけどアピールはしていない。何故か? キニコは興味はあるらしいけど、私が興味ないので、ノーアクション。フロリダなんかでまともに勉強なんかできっこないよ。ビーチで遊ぶのが落ち。行きたきゃ自分でアピールしろってんだ。ってことで、キニコは知らないが、既にこの学校は対象外。

6.コネチカット大学の場合

すべて合わせて18000ドル。州立だから、奨学金は望めない。ここに素直に行ってくれたら話は早いのだが、キニコの中では対象外。

7.ミシガン大学の場合

もしもミシガンに合格したら、ここが第2希望となるらしい。が、州立だから、奨学金は望めないだろう。すると学費と寮費を合わせた38000ドルを丸々払わなければならない。結果が分かるのは、5月以降になるだろうから、よそへのデポジットを払った後。うーん、微妙。

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と言うことで、当たって砕けろ。別に交渉して失うものはないので、できるだけ食い下がろうと思ってはいる。それにしてもお金の話は気が重い。キニコは自分でもローンとワークスタディーで学費の一部を負担するつもりでいる。それは是非ともそうしてもらわねば。6.8%の利息は高いけれど、自分で払っているという自覚が、まじめに勉強させるのじゃないかと、浅はかな母は考えている。

ところでワークスタディーでは、支払いが直接大学に行くのかと思ったら、そうではなく、やはり学生個人に支払われるらしい。キニコだと、ぱっぱらぱーって使っちゃうんじゃないか。普通の学内でのアルバイトとの違いは、税金。つまりワークスタディーには所得税がかからないそうだ。

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ところで、ブリンモアの奨学金説明会で聞いた話。

ブリンモアでは、「年々上がる授業料対策として、初年度に4年分全額支払うオプションがあります。去年から授業料は5.5%、寮費は4.4%上がりました。毎年上がることはあっても、下がることはありませんからね」だって!どこの誰が、一気に4年分払うねん!と思ったら、「去年は6名いました」だってさ。銀行で定期にしてもそのくらいの率だと思うから、そんなに得だとは思わないけど、とにかく、あるところにはあるのね~。

そこで、質問してみた。「まったく、何の奨学金も受けていない生徒ってどのくらいるんですか?」
「まったく何も受けてない生徒が25%、ローンやワークスタディーだけの生徒を合わせると40%くらいです」。ブリンモアは小さい大学で、学生数が1400人弱。その4分の1の350人が、500万円の授業料がフルで払える家庭だとは・・・。はぁ~。

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