2007年6月1日金曜日

コネチカット通信 その1

2006年8月(到着直後)

4月に夫がニューヨーク駐在となり、オハイオから戻ったのが去年の8月7日だったから、1年に2日足らずで再びアメリカに引っ越したことになる。

8月5日に無事アメリカに到着。午後4時過ぎに成田を出発し、同日の午後5時過ぎに到着たのでとても得した気分。心配した愛犬ジョダオも元気だが、どうやら彼が一番時差ぼけに悩まされている模様。毎朝2時ごろに目覚め、皆を起こしにやって来る。

生まれて初めて乗る長距離のファーストクラスはやはり快適だった。しかしどうしたら手元のランプが付くのか判明するまでかなり時間がかかり(結局スッチーに聞いた)、椅子が前に移動するのがわかったのは着陸直前。 それまでずっと「私みたいに小柄な人には全部遠くて不便やなー」と思ってた。と、子供達に話して馬鹿にされた。赴任は通常ビジネスクラスなのだが、夫の無料アップグレード券でアップグレードしてもらった。

お陰で空港でも至れり尽くせり。超過荷物に犬までいてどうなる事やら心配していたが、万事スムーズに運んだ。犬はチェックインぎりぎりまで手元に置き、出発間際に散歩にも連れ出せた。ファーストクラス用ラウンジでは、ナプキンに包んで食べ物を持ち帰ることこそしなかったが、足繁く食べ物のあるところに通った。子供達がファーストクラスのキャビンの席についた途端、前の席の乗客が嫌そうな顔で振り返ったので、「えぇとこの子みたいに静かにしぃや」とカツを入れるのも忘れなかった。心配には及ばず、席と席の間の程よい距離のかいあって、二人とも喧嘩をすることもなく、ビデオを見ながら爆睡。静かなものだった。

ところで成田空港内に最近ペットホテルがオープンしたのをご存知だろうか。引越しの都合で最後の2泊は成田だったから、犬もペットホテルに預けなければならなかった。ペットホテルの人はスーツ姿で犬を受け取ったり引き渡したり。そこいらのホテルを凌ぐ丁寧な物腰に言葉遣いで、お客が出て行くまで慇懃に頭を下げて見送られたりすると、正直言って奇異に感じた。ペットホテル用の駐車スペースには車が一杯だったので、ここに預けて海外旅行をしている人が多いのだろう。中型犬のジョダオで一泊4000円。下手すると人間様の旅費より犬のほうが高くついたりして。ドッグランやペット用エクササイズルームなんかもあって、目に入れても痛くないほどペットを可愛がっている人にとっては嬉しいだろう。ちなみに隣が獣医で、出国前に必要な健康診断もここでお願いできたから、我が家のようにペットを伴った引越しにも便利だ。

「ニューヨークに引っ越す」と豪語しておりましたが、こちらでもまたまた都落ち。都内ならずNY州内には手ごろな物件が見つからず、お隣のコネチカット州に家を借りた。しかし駅まで徒歩2分、電車でマンハッタンのグランドセントラル駅まで快速で45分(鈍行で1時間)と、バス停まで徒歩8分、バス20分、快速で東京まで35分の稲毛のマンションに比べると、当然今の立地の方に軍配があがる。

新しい我が家は3ベッドルームにリビングとファミリールームがある、築80年の平屋。日本と比較すると決して狭いとは言えないが、現在のアメリカの標準に照らし合わせると小さい家だ。日本の倉庫に預けられる荷物の量に限度があり、はたまたアメリカの一戸建てを想定して膨大な量の荷物を送ったのだが、稲毛のマンションより収納スペースが少ないのは誤算だった。9月頭に到着予定の船便116箱をいかに収めるかが、目下の頭痛の種。

主寝室のクローゼットと廊下のクローゼットは、1週間だけ先住民である男イメルダの夫の洋服と靴で既に一杯。これからまだまだ彼の冬物が到着するし、私の服だって結構ある。地下にはコンクリートの壁がむき出し、天井の桟や配線があらわなunfinished(未完成)の地下室があるのだが、収納はこのスペースをどう有効利用できるかにかかっている。しかし湿った臭いが漂い、不用品(古いコンロ、洗濯機、ペンキ、箱類、棚など)が散在する地下室には正直言って余り近寄りたくない。丸く掃除してあるだけで隅々にくもの巣や土埃。絶対に虫はいるだろうし動物の糞もあるにちがいない。

外には塀で囲まれた裏庭があり、ジョダはご満悦。時々ウサギやリスが走って、時差ぼけでだらけた彼を適度に興奮させてくれている。

子供達のほうは日本に居た時と変わらずだらだらしている。立派なベッドルームが出来たにもかかわらず、荷物を片付けるでもなく、相変わらず二人はスーツケースの中から物を取り出し、脱いだものをその周りに散らかしている。アメリカに戻ったので、オハイオ時代に築かれた「自分の物は自分で洗濯」ルールの復活。早速キニコは昨日洗濯していたが、シナコは着る物が底をつくまで粘るのだろう。オハイオ時代シナコは時々洗濯籠から取り出してみては、臭いをかいで、大丈夫と踏んだら再び着たりしていた。(もう年頃なんだから、そんなことやめぃ!)

我が家のあるあたりはこじんまりとした家が多い。が、ちょっと行くと映画に出てきそうな豪邸がたくさんある。Greenwich、特にOld Greenwichはお金持ちの住んでいるところとして知られているようで、キニコの学校にもこのあたり出身の子が多いそう。キニコは家からは通えないので、今迄通り寮生活だ。学費が高いので、シナコが行くことになっている公立高校に替わってくれないかと提案(懇願)したのだが、夫とキニコに却下された。キニコの学校もコネチカット州だが、マサチューセッツ州とニューヨーク州に隣接する北西の隅なので、ここから車で1時間半あまり。JFK空港から我が家までは40マイル(65キロ)ほどだが、東京と同じく渋滞が多く、到着した日も2時間近くかかった。オハイオの40マイル(60キロあまり)なんてすぐそこだったのに・・・と改めて思う。

今朝から夫は一泊のメキシコ出張で、帰宅は明日の夜中だそう。少なくとも2週間に1度は出張に出かける必要があり、日本にいたときより仕事は忙しい。でも日本より通勤の負担は軽減されている。出張も空港と自宅の移動にはハイヤーが家まで迎えに来てくれる。

最後は我が家の車。10年目の車検を5月に通したばかりの愛車オデッセイを、出発前日に手放し(購入先のホンダプリモが8万円で引き取ってくれた)、こちらでも新車のオデッセイを購入。日本のオデッセイより一回り大きく、両側がスライドドアになっている。快適だが、前がどのくらい出っ張っているのかわからなくて恐る恐る駐車している。バンパーをこするのも時間の問題だろう。

好評を博した(?)リヤド通信でしたが、当時の読者より、是非今回もコネチカット通信を書いて欲しいとリクエストがあり、到着のご挨拶を兼ねてコネチカット通信その1です。サウジ時代ほど珍事が起きるとは思えないけれど、気付いた事を書き込むように致します。

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