2007年6月1日金曜日

インビジブル・フェンス

先日、ママちゃんがボクのためにInvisible Fenceを購入しようかと思い立ち、説明のためにセールスの人を家に呼んだ。このフェンスは、その名の通り目に見えないフェンス。Invisible Fenceは登録商標で、他にも類似品はたくさんある。類似品ではトラブルが起きていることもあり、ママちゃんは本家本元の会社の製品を購入しようとしたのだ。

説明を聞くと、家の四方を囲むようにワイヤを地中に埋め込み、ボクは特別な首輪をする。ワイヤに2mくらい近づくと、まずは首輪から警告音が出て、更に近づくと首輪の内側の電極の突起が僕の肌にビリビリってショックを与える仕組みらしい。

何でママちゃんがこのフェンスを買おうと思ったかというと、ボクのためというよりは、本当は自分のためなのだ。裏庭には木製のフェンスが張り巡らされているけれど、フェンスの下には隙間が空いているし、ある部分ではフェンスとフェンスの間にも隙間がある。ボクがこの隙間を見逃すはずはない。最初の頃はおとなしく庭の中にいたけれど、だんだん庭にも飽きちゃったし、隣の庭にはリスもウサギも走っているし、どうしても後を追いたくなるんだよね。

で、何度も庭からエスケープを繰り返していたら、業を煮やしたママちゃんは長~い綱にボクを繋ぐようになった。ところが庭には木が生えてるし、2段になった庭の、上の段のタイルとタイルの間の隙間に、しょっちゅうボクの綱が入り込んで、動けなくなってしまう。そのたびにボクは「く~ん」と悲しげな鳴き声をあげて、助けを求めるんだけれど、どうやら僕を助けに外に出て行くのがママちゃんはメンドクサイらしい。

Invisible Fenceの広告が入り、今なら599ドル!という文句に、興味をそそられて、早速電話したらしい。599ドルで2エーカーまでらしいけれど、うちの家の土地なんて1エーカーもないちっぽけなものだから、裏庭のみならず前の庭も全部カバーできる。自分でまがい物を買ってきて取り付けてもいいのだが、前庭にはアスファルトのドライブウェイがあり、ワイヤを埋め込むには、このアスファルトを切り込んでワイヤを埋めてから再びカバーするという作業が必要。これはなかなか素人じゃ難しい。

インビジブル・フェンスを導入しても、その後きちんと犬を訓練しなくちゃならないんだって。たいていの犬はすぐに学習するらしい。一番訓練が難しいのが、ジャックラッセルやビーグルの類。つまり、ジャックラッセルの親戚であるラットテリアのボクは、一番訓練が難しいタイプらしい。動物を見ると、どうにも我慢できなくなっちゃうんだもん。でも訓練用のビデオも付いているし、「99%の犬は、大丈夫です」とセールスのおばちゃんは自信を持っていた。「この子は頭はいいんですよ」と、決してキニコやシナコを褒めないくせに、僕のことは褒めていたので嬉しかった。

説明を聞いてすっかり買う気になったママちゃんだったが、そこはパパちゃんに相談してからと、一応パパちゃんを立てて、その時は契約にはサインしなかった。

夜、パパちゃんに話をしていた。パパちゃんは、だいたい元々ボクのことがあんまり好きじゃない。「ファミリールームのカーペットを敷きたいと思いながら、お金がないから我慢しているのに、このクソ犬のために600ドルだと。俺は反対だね」と冷たい。最近は自分の稼ぎがなくて、発言権が弱まったママちゃんは、あきらめきれないまでも、もう少し待つかって雰囲気。

そしたら、今日、アメリカのお母さんから電話があって、話しているのを聞いてしまった。「600ドルもするから、夫も二の足を踏んでいるのよ」とママちゃんが言うと、「それじゃあ、あの犬よりも高いじゃない!」 それを聞いて、「ほーんとだ、もったいない」と、ママちゃんはすっかり納得してしまったみたい。

ちぇ・・・。

でもさ、去年の暮れ、獣医に連れて行かれて予防接種を打たれたら、ひどいアレルギー反応で目が開かなくなるまで顔は腫れるわ、熱は出るわで、あわてて再び獣医に連れて行かれて、中和剤を打たれて、赤ちゃん用のアレルギーの飲み薬まで飲まされて。あの時の予防接種と中和剤・薬の値段がしめて400ドルだったから、ボクの価値は、もう800ドルは優に越えているんだけどなぁ。

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