
昔、同僚たちと知り合いの知り合いも含めた、「有名人自慢」というリストを作成したところ、ダントツで私が一番だった。(って言っても、参加者は私以外にはひとりだったけどさ。) このリストのルールは、どんなしょうもなくても、その有名人とちょっと関わりがあればOKだった。

すると、隣にいた男性が、「昨夜の飛行機が、天候で全てキャンセルになったんだよ。」
なるほど、それでこれだけの人が。
私たちは、イージーチェックインだから、何重にも列を成している人たちの後に並ぶ必要はない。
イージーチェックイン(航空会社によって呼び名は異なる)とは、Eチケットを持っている人が、カウンターとは別の場所に設置された、キヨスクと呼ばれる複数のコンピュータディスプレイから、セルフチェックインが出来るシステム。手荷物しかない場合は、ここでボーディングパスがプリントアウトされるので、カウンターへは行かず、そのままゲートに進める。
最近は、数日前に航空会社から、チェックインサイトへのリンクのついたE-mailが送られて来て、自宅でそこからチェックインして、ボーディングパスを印刷しておけば、空港到着後は何もしないで、直接ゲートに赴くことも出来る。
しかし、どちらの場合も、預ける荷物がある場合は、やはりキヨスクにて、預ける荷物の個数を入力し、荷物に付ける目的地のシールが、カウンターにある印刷機からプリントアウトされるので、そこで荷物を預ける必要がある。
私たちは、既に家でチェックインは行っていたものの、預ける荷物があった。見れば、キオスクの周りも人で埋まってはいるけれど、誰も使用していない。そこで、私は人並みをかき分けて、ようやく画面の前に陣取った。
そこまで辿りつくまで、生真面目なシナコは、「ママ、順番抜かししないで! ちゃんと並ばなきゃ!」と背後から叫んでいる。
「違うの、この人たちは、セルフチェックインの人たちじゃないの!」と言っても、シナコには分からない。説明するのももどかしく、とにかく荷物のチェックインを済ませたが、今度はその荷物を実際に預けに、カウンターにまでたどり着かねばならない。
カウンター前は荷物を持った人でびっしり埋まっているので、なかなか近寄れない。それでも強引に前進していると、またもやシナコが叫ぶ。「ママー!ちゃんと並びなさいよ!!」
「違うよ。この人たちは荷物をチェックインする人たちじゃないんだよぉ!」後ろを向いて、叫ぶ。
実際、チェックインする人たちに紛れて、キャンセルされたフライトから、別の便に予約を変更しようと並んでいる人たちがいる。彼らが、ようやくの思いで、カウンターに到達すると、「ここでは予約変更はできません。予約係りに電話するか、あちらのカスタマーサービスに行ってください!」と、つれなく宣言されるのがオチなのだ。
それでも、ここまで並んだのだから、と食い下がる乗客。ここでは、どうにも出来ません、と言い放つ係員との間で押し問答。係員は後ろに並んでいる人たちにも、「ここでは予約変更は出来ませ~ん。予約係りに電話してくださ~い!」と叫ぶけれど、ざわつくカウンター周辺には、その肉声も届かない。
そんな中、私はボーディングパスを振りかざして、「○○(苗字)です。荷物のチェックイン!」と叫ぶ。
後ろから、シナコが「ママ、止めて!ちゃんと待ちなさいよ!」
「待ってたら、いつまでたっても順番が来ないのよ!」
ようやくの思いで、荷物のチェックイン・シールを貼ってもらう。
真横では、若い女の子が泣いている。「ここまで待ったのに・・・。今日中に帰らなくちゃいけないのに・・・。」 気の毒に。
そのまま荷物を預かってくれるかと思いきや、「あちらのカウンターに持って行って下さい」と、遥か向こうの別のカウンターを指差す。
何で?!と思うけれど、しかたなく、再び人と荷物で埋もれたところを、荷物を引きずり、掻き分けて、別のカウンターへ。は~、疲れた。