誕生日に先立つ数日間、シナコが私に何度も迫った。
「ママ、シナコもSweet Sixteenのパーティーして欲しいんだけど、幾らまでだったら出せる」
「Sweet Sixteenのパーティー? そんなの、キニコにもしてないし、我が家にはそう言う風習はないの。日本人の文化じゃないんだから。」
「でも、コレで最後だから。いいでしょ、お願い。パーティをして。幾らまでなら出してくれる?」
「最後って、これからも、アンタが結婚したら、そのパーティとかだってあるんだよ。」
「結婚パーティーなんて要らない。やるなら自分で出す。だいたい結婚するかどうかだってわからないのに。」
「自分でなんて、出せるわけないんだよ。その時になったら頼ってくるでしょ。ママだって、全くお誕生日パーティーしてあげないって言ってるわけじゃないでしょ。家にお友達を呼んで、ピザを注文して、ケーキ食べてのお泊り会なら、幾らでもやってあげるって言ってるじゃない。」
「イヤだ、こんな家、狭すぎるもん。人を呼べないよ。ソファーベッドだって壊れてるし。」
「寝袋使えば、寝られるじゃない。この部屋に、テーブルの上と下に一人ずつ・・・・・・5人は寝られるでしょ。あっちの部屋にも何人か寝られるし、キニコの部屋もある。なんだったら、パパとママがどこか豪華ホテルに泊まりに行ってあげるよ。ひっひっひー。」
「こんなところ、寝れないよ! それに、ここで何するのよ。お願い、一生のお願いだから。幾ら出せる?」
「一生のお願いったって。うーん、頑張って200ドル。それ以上は出せない。」
「えー、200ドルじゃ何もできないよ。」
「できるよ、ピザを注文できるじゃん。」
何せシナコはしつこい性格なので、上記の会話が延々ぐるぐるぐるぐる続くのである。
さて、シナコのお誕生日当日。その週は春休みで、シナコは午前中陸上部の練習に参加した後はずっと家でだらだらしていた。
「シナコ、今日はパパは出張だし、特別に何か食べたかったら言ってね。」
「お寿司。」
「じゃあ、マンハッタンまで行かないと美味しいのは食べられないよ。一緒に行こうか?」
「めんどくさい。じゃあ、何でもいい。」
「え、何でもいいんなら、じゃ、ピザを取って二人で食べようか?」(すぐ、自分が楽な提案をする。)
「どうでもいい・・・。」
「じゃ、決まり、ピザねっ!」(るんるん)
と言ういことで、私は食事の用意もせず、夕方がめぐってきた。
にわかにジョダが吠え出す。何じゃらほいと外に目をやれば、シナコの友達が、風船とケーキを手にドアの前にいる。
Happy birthday! と叫んで、マリアとロッティが家に入ってきた。
全く予期していなかったので、シナコは大喜び。
そして、二人も一緒に、約束どおりピザを注文し、ケーキを食べた。
その後、3人は一切れのケーキを手に、近所に住むアディティの家におすそ分けに行った。その後戻ってから、Wiiで11時ごろまでひとしきり遊んで、とっても楽しかった模様。
本当に二人のお陰で、シナコの誕生日は、一転してとっても思い出深いものになった。(ありがとー!!) 本当、持つべきものは友達だね。
以来、シナコはパーティーの「パ」の字も言わなくなった。
キニコがJHUを断念したことで、「可哀そう・・・」と言っていたから、少しは関係しているのかも。
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