2009年5月6日水曜日

オトナ語の謎

遠方の友達に貸していた本がどさっとUPS(アメリカのクロネコ)で返却されてきた。

その中に見つけた糸井重里の「オトナ語の謎」

確か、大いに笑った記憶がある。再び手にとってページをめくる。
わははは!やっぱり期待は裏切らない!

あまりに面白いから著作権に触れるのかも知れないけど、最初の所だけ。本書の「基本編」からちょびっと紹介。

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オトナの世界は謎めいた言葉に満ちている。(中略)

基本用語編

お世話になっております

オトナの世界はこのひと言より始まる。いわば「お世話になっております」はオトナの世界における万物の始まりといっていい。使い方の基礎を述べるとすると、ほんとうにお世話になっているかどうかは関係がない。とにかく、開口一番、あっと言う間にそう述べるべきだ。
「お世話になっております」
そう、たとえあなたがまるでお世話になっていなくても。
「お世話になっております」
むしろオレがおまえを世話しているのだと思っても。
「お世話になっております」
あなたと私は絶対に初対面であるけれど。(中略)

よろしくお願いいたします

オトナの世界における万物の始まりが「お世話になっております」だとしたら、世界が終わる日に交わされる挨拶はこの言葉。すべての終わりにオトナはこう添える。
「よろしくお願いいたします」
むしろおまえが俺にお願いしているのだとしても。
「よろしくお願いいたします」
先方の担当者がマイケル・ジャクソンだったとしても。(後略)

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あ~あ、私もこのパターンに漏れず、毎回、仕事のメールを「お世話になっています」で始めて、「よろしくお願いします」で締めくくっているよ・・・確かに。もっと別の始め方と終わり方はないものか。

ついでに、もうひとつ、ふたつ紹介しちゃお。

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~マツ

月の数字を頭につけて使うのが一般的であり「イチマツ」「ニマツ」「サンマツ」というふうに使う。つまり「ハチマツ」といえば「8末」のことであり「8月の終わり」を指す。ただし、「12月の終わり」については「ネンマツ」、もしくは「ネンナイ」となるのがふつうであり、「ジュウニマツ」とは言わないようである。「クマツ」や「ゴマツ」は直感しづらい。「ジュウイチマツ」は発音しづらい。「ジュウシマツ」は鳥である。

みょうにち

「明日」と書いて「みょうにち」。そういえば学生は使わない言葉である。大学生が「みょうにちは追試があるから」とは言わないし、女子高生が「みょうにち電話するね~」とも言わないわけであるが、オトナになるといともあっさり使うのである。
「それでは、みょうにち朝イチに御社受付へ手前どものにんげんが参上いたしますので」

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あ~、何回読んでも楽しくてしかたがない!!

日本語を勉強しようとする者には必読の書だ。

「言いまつがい」シリーズも欲しいよ~!!


PS.さっきから一人で爆笑してるのだが、どうしても、もうひとつ追加したくなった。翻訳しているときも、しょっちゅう登場するんだよな、この言葉。

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名詞に「など」をつけて、「そのほかのもの」といった意味合いを持たせるという、じつにまっとうな使い方をするが、オトナ語における「等」の問題点は「そのほかのもの」があったためしがないということである。「そちらに資料等、お届けしいます」というとき資料以外のものは届けられない。「サンプル等、お持ちします」というとき、持っていくのはサンプルだけである。謎めいている。ああ、謎めいている。「広報の写真等、いただけますでしょうか?」と言われた場合、広報用の写真以外に求められているものはない。

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