今回の出稼ぎでは、結構現場で機械や物を前に通訳をする機会がある。
オハイオ時代も同じく製造工場で社内通訳をやっていたし、日本でフリーランスで通訳をした1年間も、再びアメリカに来てから受けているフリーランスの仕事も、大半はエンジニア関連の仕事である。
ほぼ「ものづくり」の世界での通訳を中心にやって来たにも関わらず、実は書類の上での話が多く、あるいはたまに現場に足を運んだとしても、1日か2日の仕事で、実際にじっくり物が出来るさまを観察するところには至らなかった。
オハイオでの5年間も、工場にいながらにして、所属は製造ではなく品質部門。仕事の内容は圧倒的に解析や設計に関する話。勿論たまに工場内の機械に近寄る機会はあったものの、作っている物は殆ど見えない。例えば切削機の周りはガラスのパネルで囲まれ、外から見えるのはただ水(冷却水)がじゃあじゃあ流れているところだけだし、鋳造機はでかすぎて、音はすれども姿は見えず。
そう言うわけで、今回予想外に長丁場になっている製造現場での仕事は、実際に物が出来ていく様をつぶさに観察できて非常に興味深い。勿論ここでの製造工程が全ての製造工程を代表するものではないことは重々承知しているけれど、基本的にどうやって物が作られていくのか、どんな検査をどうやってやっているのかが眺められて非常に興味深いのである。
もうひとつ今回の仕事のメリットは、長期間一箇所に留まっているため、当然一緒に仕事をしている人たちと親しくなる。一緒に過ごす時間も長いので、わからなかったことや疑問に思ったことを、後からでも質問ができて、時間をかけて解説してもらえる。
前にも書いたような気がするけれど、学生時代は数学も化学も苦手。理系のものは避けれるだけ避けて来たのだが、仕事で理系の話に直面するようになって初めて、エンジニアの世界が非常に論理的で筋が通った素直な世界なのだと言うことを知った。
だから一見して難解な話でも、懇切丁寧に説明してもらうと、案外素人にもわかることが多いのである。
いえ、わかった気になっているだけかも知れないし、おまけに教えてもらった側から忘れてるんだけどね。
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