2009年5月13日水曜日

旅の友

アメリカでは、車での移動が多い。その長い時間をどうやって有効に使うか。

実は私はあんまり音楽を聴かない。全く聞かないわけじゃないけど、私の音楽の興味レベルは歌謡曲&カラオケ止まりで、芸術として音楽をたしなむことはないし、特定なミュージシャンの熱狂的なファンになると言うこともない。そ、つまらない人間なのです。(←こういう人間はボケやすいそうです。)

長時間音楽をかけていると、疲れて気分が悪くなるか、全く聞いていないかのどちらか。音楽を聴いて気分が悪くなる人ってのも珍しいかもしれないけど、うるさく思えて切ってしまうことが多い。コレが自分が歌っているとなると、何時間でもOKなんだけど。

という訳で車に乗っているときはたいていラジオを聴いている。勿論ニュース番組かトーク番組。iPod時代以前は、車に乗る度に娘たちとケンカになったものだ。娘たちが聞きたいラジオ局と私が聞きたい局が対立するすから。これで何回揉めたか数知れない。しかも当時は私の大嫌いなヒップホップたらいう音楽が流行っていて、気が狂いそうだった。今は娘たちはおとなしく自分のiPodを聞いている。

グリニッチ界隈は、ニューヨークとの州境だからか、いつも聞いているNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)は、ニューヨーク市の局と、コネチカット州の南西地区の局の両方が入るのだが、場所によってどちらも雑音が入ったり入らなかったりする。

更に遠距離の移動となると、ラジオ局が地域ごとに変わるので直ぐに雑音に変わる。NPRは全米で放送されているものの、それぞれにローカル局があり、放送内容も局によって違う。せっかく面白いところで雑音に変わり、近くの地域の局を探し当てるとそこではクラシックを流してたり。場所に寄っては全く入らないときもある。

こんな事情なので、アメリカには衛星ラジオなるものが登場した。有料だけれど、どこに移動しても雑音もなく選んだ局(音楽ジャンル別)を聞くことができる。レンタカーに付いていたことがあり、CNNとか聞けるし、私には嬉しかった。

で、一時期衛星ラジオを車に付けようかと考えたこともあったのだが、機器そのものが300ドルくらいしたし、取り付けも私にはできない。機器とは別に月々13ドルがかかる。当時、二つあった衛星ラジオ会社が合併する噂もあり、この先どうなるかわからないので、やめる事にした。

そこへ新しく買ったシビック。実はiPod用のアダプタが付いていた。当初は自分が使うことは想定していなかったのだけど、先週の木曜から月曜にかけて、トータルで1300マイルほど運転しなくちゃならず、本当に重宝した!

少し前にクレジットカードのポイントが溜まったので、iPodを手にした。でも普段音楽を聴くことはないし、電車などの移動中はもっぱら本だから、殆ど使う機会がなかった。シビックが登場するまでは。

基本的に私のiPodは音楽用じゃなくて、ポッドキャストとオーディオブック用。当初はDVDもiPodに落として見られるのかと思っていた・・・。CDは入れられるのに、どうしてDVDはダメなの? よくわからない。

ポッドキャストの中でのお気に入りは「Car Talk」。オハイオ時代、毎週土曜日の朝、補習校へ娘たちを送った帰りに、このトーク番組を聞いていた。

2人の兄弟のおじさんが、車に関する問題や悩みに対してお答えするというコメディー・トーク番組。アメリカ人は自分で車をいじる人が多いので、いろんな相談が寄せられる。くだらない悩みもたくさんあって、超おかしい。おじさんたちの車の知識にも感心するし、当時は車の工場で働いていたから、私にもわかることがあったりして余計に面白かった。

例えばこんな感じ。

「レンタカーで海辺に行って駐車していたら、いつの間にか寝てしまって、気がついたら満潮になって車の半分が水につかっていました。なんとか脱出して、車内もうまくきれいにして、黙って車を返したのですが・・・今後あの車を借りた人に、何か不具合がおきて事故になったらと思うと・・・夜も眠れなくて。僕はどうするべきでしょう。今からレンタカー会社に正直に話すべきでしょうか?」

「僕はずっと彼女がいなかったのですが、最近になって付き合っている女性ができ、今度ドライブに行く事になりました。彼女には僕の真の姿を見せるべきで、取り繕うのは良くないと考えてます。実は僕の車はすごく汚くて、車内には古新聞、飲んだドリンクの空容器が無数に、食べ物の袋とかも一杯たまっています。なんせ掃除したことがないので。これを見たら、彼女はひいてしまうのではないか。でも、偽りの自分を見せるのもいけないような・・・僕はどうするべきでしょう?」

最近聞いたのは、
「息子が亀を飼っていて、この亀の餌がコガネムシの幼虫なんですが、ペットショップでその餌を買った後に、息子のサッカーの試合に行きました。車に戻ると幼虫が袋を破いてみんな逃げてしまって、シートの隙間や、ありとあらゆる隙間に入ってしまいました。更に話がややこしいのは、実は今離婚訴訟中なんですけど、この車は夫の手に渡る事になっているんですよね・・・。正直に夫側に話すべきか、黙って引き渡すべきか・・・」

真面目なのでは、
「○○が切れていて、見てみると側のXXにかじった後があります。どうしたらいいでしょう」
返答は、
「XXはメタルだから、リスが歯を砥いだんでしょう。ガレージの中にまで入ってきたのか。じゃ、XXの周りにペパーミントオイルを塗っておくといいですね。ペパーミントのニオイが嫌で寄り付かないと言う訳じゃなく、手足に付いたのを舐めると舌が焼けるんです。動物愛護協会のヤツらに聞かれるとマズイけど」

「○年型のXXに乗っています。高速を走ってると時々ブレーキが全然聞かなくなるんだ。ブレーキを踏むと、ストンと床までペダルが落ちちゃって、次もストンってなって、3回目か4回目でちょっと効いて、次にちゃんと効くの。下の道じゃ全然大丈夫なんだけどさ」
「あんた、その状態で高速を運転してるわけ?」
「ああ、だって、この車は燃費がよくってよ。マイル35-40とか行くんだよなぁ」
「君の墓石には、『1ガロン40マイルを求めた人生』って彫られるんだろうよ。○年型のXXは前のブレーキはXXで後ろはXXだから、恐らくスレーブシリンダーのXXがXXになっているか・・・」と解説が続く。

たまに相談者への回答が当たっていたかどうか、しばらくしてから確認するコーナーがある。最初に以前の放送の録音が流れる。

「ハーイ!メイン州のポートランドに住むポーラです。このあたりは最近は超寒くて-15度。そんな日はエンジンがかからないの。ある日エンジンがかからないので、毛布をスチームヒーターで暖めて、ボンネットの上にかけて、しばらく待ったらエンジンが掛かったのよ」
「おいおい、ボンネットの上からかけた毛布の熱がボンネットを通してその裏のエンジン上部の空気を温めてエンジンが掛かったって、俺たちに信じろって言う訳?」
「だって、それしかエンジンがかからないんだもの」
「わはは・・。ありえねー。で、僕たちに相談は何なの?」
「どうしたらエンジンが掛かるか・・・」
「わはは、だったら、もう解決策はあるじゃない。毛布使えば」
「そんな・・・。どこが悪いか知りたいのよ。友達はどこかのネジが緩んでるんじゃないかって」
「わはは! 緩んだネジの場所はわかってるじゃない。君の頭でしょ。じゃなきゃ、毛布でエンジンがかかるなんて思わないでしょ。これは毛布じゃなくて、待ってる時間がからんでるんだよ。XXにはニュートラルXXって機能があって、きっとコレが故障してると思う。だから今度エンジンが掛からないときには、ギヤをニュートラルに入れて、エンジンをかけてごらん。もしコレの故障が原因なら、エンジンが掛かるはずだから」

そして数週間後、
「ハーイ、オツムのゆるいポーラさん。で、どうなりました?」
「言われたとおり、ニュートラルに入れたら、掛かりました!」
「ジャジャーン! やっぱりそうだったか。で、ニュートラルXXが故障してた?」
「いえ、修理には持ってってないから、わからない」
「何で?」
「だって、エンジンかかればそれでいいから」
「わはは、やっぱり、アンタはオツムがゆるいね~!」

ってことで、お暇な方はPodcastで Car Talkを聞いてみて下さい。面白いから。

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