それとも、ボクの方が太ったのかな。最近、中年太りか、お腹のあたりが出てきたんだよね。
いや、お腹の出具合では、ママちゃんの横に並ぶものはいない。この前、妊娠したって言ったら、ボクもシナコも信じたもん。
久々に会ったのに、気和はボクのにおいを嗅ごうともしないで、綱でお母さんを引っ張ってる。
気和のお母さんは、
「ゴメンね。今朝東京から帰ってきたばかりで、しばらくちゃんと散歩に連れて行ってもらってなかったものだから、気和、ちょっと待って。」
「東京!?」
「そうなの。夏に主人が転職して。東京のドイツ銀行なの。一応2年契約で、気に入れば更新するかもしれないけれど、次女があと2年で高校卒業だから、それまでは私は行ったり来たりするつもり。」
この家族とは、ボクを通じて知り合ったのだ。
ここに引っ越して間もなく、キニコがボクを散歩していると、向こうからボクそっくりな奴がやってきた。ボクは今までそっくりな奴に会ったことがなかったので驚いた。向こうも、初めてそっくりな奴を見るみたいだった。
向こうのお母さんが、「ラットテリア?」と、声をかけてきた。
それがきっかけで、仲良くなった。
ボクは、あいつの名前が「気和」なんて、超日本的なのに驚いた。アメリカ人の家族なのにさ。漢字まであてがわれちゃって。
気和は、アンタだって日本人に飼われているくせに、ジョーダンなんて、ハイカラな名前つけられちゃってさ、と言いたげだった。
気和は、アンタだって日本人に飼われているくせに、ジョーダンなんて、ハイカラな名前つけられちゃってさ、と言いたげだった。
気和の家族はお上品な感じで、この近くの大きな家に住んでいる。お父さんはアメリカ人だけれど、早稲田に留学していたらしく、家族で10年近く東京に住んだことがあるんだってさ。娘は2人とも結構日本語が話せるらしい。
「エリカがバレーボールの試合や練習で、帰宅が遅かったから、殆ど散歩に行ってないのよ。」
「あ、この前、バレーボール部で、洗車やってたでしょ。エリカちゃん、見たよ。」
「そうそう、オールドグリニッチで・・・わかった、わかった、気和」
気和が、うるさく催促するものだから、お母さんもママちゃんもおしゃべりをあきらめることにしたみたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿