本来ならば出来るだけ優秀な大学に入って欲しいと望むところなのだろうが、私たちの悩みは、いかに経済的に、できるだけ我々にとって負担の少ない進学先を、キニコが納得して選んでくれるか・・・。
高校生活をプレップスクール、すなわち優秀な大学への進学を前提とする学校に行ってしまった(行かせてしまった)が故に、同輩たちと同様の進学を望むことが、娘にとっては、極当然のことなのだ。 私とて、キニコが今の学校に入った時点で、ここまで考えは及ばなかったし、また、あの時点から比較しても、事情は更に悪化した。
そんな現実的なことを考えるよりは、当時は、浅はかにも、「末はハーバードかプリンストンか」とさえ一瞬思ったのだった。
まぁ、そんな夢は、キニコがプレップスクールに入って間もなく、きれいさっぱりと崩れ去った。フランス語ではいきなりCは取るは、他も今までに見たことのないBのオンパレード。やはり上には上がいる。全国各地から集まった優秀な生徒たちの中で、キニコ自身、現実の厳しさを意識しただろう。あれから3年余り。キニコは何とか学校でも中の中というレベルは保っているものの、有名大学から、「無料でいいですから、是非我が校に来てください」というオファーが来るほどの成績もタレントも持ち合わせてはいない。
そんな中、キニコが望む進学先と、我々の経済的余裕の間に大きな隔たりがあり、非常に頭が痛い。勿論、ない袖は振れない。払えないものは払えないのだが、今の我家の一筋の望みは、一体どのくらい奨学金(経済的援助金)が出て、そのギャップを埋めることが出来るか。
しかし、データを見る限りは、殆ど望みがない。それでも温情に訴えて、どのくらい得ることができるか、それだけである。そして、それでも尚且つ支払えない場合、素直にキニコに理解してもらうこと。そこが一番頭の痛いところである。現実的には、キニコにあきらめてもらう可能性が、今のところは一番高そうである。
こうやって、文字を並べていても、なかなか今のアメリカの大学事情は、その場に身を置く者でないとわかってもらえないと思い、私が調査したデータをご紹介しよう。 下は、ここ30年間の、アメリカと日本の学費の傾向である。
ご覧のように、アメリカの学費は年々うなぎのぼりで、特にここ10年間の上昇は凄まじい。平均で私学は、1万ドルの上昇、州立でも3000ドル上がって倍額になっている。
日本の場合は、通常入学時の授業料がそのまま4年間保持されるが、アメリカの場合は年々上昇する。キニコの高校でも、入学時と比較すると、4年目の今年では、6000ドル上がった。
現在のキニコの学費は、奨学金(援助金)をもらっているものの、やはり我々にはきつかった。それでも今のままなら、青息吐息ながらなんとかあと4年間続けられるかも知れない。しかし、私立大学の費用は、遥かにそれを上回るのだ。
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