2007年11月22日木曜日

大阪

久しぶりに大阪を訪れたら、その変貌振りにびっくり。もう、どこが何だか全然わからない。
JRの大阪駅近辺は大幅に変わっていて、「東口」なんてなくなってしまって、「御堂筋口」とか「北口中央」とか、知らない改札がいっぱい登場。

また阪急百貨店も改装中で、谷町線へまっすぐ抜けられず、地下で迂回。地下に降りると、あれ~ここはどこやねん? 「あのぅ、谷町線はどこでしょう?」と、ばりばりの大阪弁で道を尋ねる妙な私。いやあ、参りました。

改めて驚いたことが、あとふたつ。

まず、帰宅ラッシュアワーにJRの快速に乗ったのに、東京との違いにびっくり。確かに座れるまではいかないけれど、立っている自分の周りに十分なスペースがある。これでラッシュ? ああ、関西人が羨ましい。

その次は、さすが大阪人と称えるべきか、嘆くべきか。

先日、アメリカで中国のニュースを聞いて、夫と大いに笑い転げた。人とぶつかっても知らん顔、平気で前の人を押しのけて歩くのはあたりまえ。そんな国民の粗悪なマナーを、なんとか北京オリンピックまでに改めようと、中国が取り組みを始めたというのだ。

もっと洗練されている日本人のつもりで、「そんなん無理無理」と笑っていたら、なんと大阪人は、中国人と全然かわらへん! 後ろから、前から、がんがんぶつかるわ、電車の扉が開いて、降りてくる人もまたずに、どんどん乗り込んでくるわ・・・。

新しい大阪市長に、ぜひともマナー向上の取り組みをして欲しいわ。

2007年11月16日金曜日

Alli(アーライ)2

たった1錠で、もう3日間も、油が出る出る・・・。
毎回トイレの掃除だし、いい加減にいやになる。
気を許して、うっかりオナラなんて出来ません。

昨日、出張中の夫にそのことをメールでレポートしたら、
「ホテルでパンツ洗いました」だってさ。

Alliダイエット中の人は、一度は体験すること間違いなし。
(恥ずかしながら、この私も・・・。)

もう絶対飲まない!

「真剣にダイエットを考えている人だけにしか勧めません」と言う製薬会社の警告も、うなづけるぜ。
生半可な気持ちでは、パンツは洗えません!

公衆トイレでオレンジのリングを見たら、Alliダイエット者が使用したと思ってください。

1錠怖いもの見たさで、飲んでみたいと言う方、ご連絡下さい。持って帰りまっせ。

PS. 11月18日~12月8日まで、日本に一時帰国します。家族は置いて、私だけ。

2007年11月15日木曜日

Alli(アーライ)


先日、夫の会社の出張者から頂いた週刊誌を読んでいると、日本で「Alli」ダイエットが話題になっているという。
翌日、Costcoにお買物に行ったら、Alliのスターターセットが65ドルで売っていた。
「あっ、これだ、話題のダイエット薬!」
週刊誌を読んでいない夫に説明すると、使い方も効能もよくわからぬまま、流行に「敏感」な彼は、今風のメタボ体型には、話題のこの薬しかないと、早速お買い上げ~。
このお薬、腸内での脂肪の吸収を阻止するらしい。油分のある食事を取る際に、食事と一緒に1錠摂取。1日最高で3錠まで。
実は、私も、夫が出張中の昨日、試しに1錠飲んでみた。汚い話だけれど、注意書きにも、「オナラと一緒に油分が出ることも」などと書いてあったが・・・。まさに、イクラのような油が、トイレに行く度に出てくるのら! 油だから、水面に浮いて、流す時には便器の周りにオレンジ色がべったり・・・。そのたびに掃除をしなくちゃいけない。(ラー油を水面に浮かせたところを想像してください。)
たった1錠でこれ。毎回飲んでいる夫が、「これ、大変やわ・・・」と言っていたけど、出張先で大丈夫かな~。うっかりオナラなんてしたら、とんでもないことに。そのうち、生理用のナプキンが必要にならないかしらん・・・。
こうやって油分の摂取を阻み、体内の脂肪を燃やしていくってことなのか・・・。Alliは、飲んでいるだけではダメで、脂肪分の摂取を控え、同時に運動も必要らしい。販売元の製薬会社も、「本気でダイエットに取り組む人にだけ」勧めているようだ。
Betsyにもらったトレッドミル。地下においてあるけれど、夫が走っていたのは最初の1ヶ月だけ。彼は、今回どこまで本気か。(使用前、使用後の写真をこっそりブログに掲載したいな。)

シナコ、バールミツバに行く

バールミツバ、なんて聞きなれない名前でしょ。

何人かユダヤ人の知人がいるから、少しは聞き知っていたものの、実際に「体験」したのはこれが初めて。体験ったって、したのは私じゃなくて、シナコですけど。(さすが、オハイオではない体験。)

バールミツバは、13歳で行なわれる、ユダヤ教の男子の成人のお祝い。日本で言えば元服かな。これに対して、女の子のためのお祝いはバットミツバと呼ばれ、12歳で行なう。日本で言えば13参りかな。そもそもユダヤ教もイスラム教徒同じ土地を発祥の地としているため、男尊女卑的な伝統があるため(これらの宗教に限らず、古来からどこでも基本的には男尊女卑だけど)、バットミツバのお祝いを大々的に行なうのは、アメリカのユダヤ人の間での話らしい。

ユダヤ教に関して、興味ある方は、この方のウェブサイトをご覧下あれ。ユダヤ教に改宗されたスカースデールというグリニッチに近いNY州の町に住む日本人の女性のサイト。バールミツバについて詳しく調べようと検索していて見つけたサイト。勉強になります。
http://www.scarsdalemura-kara.com/

さて、シナコは、のたまう。「バールミツバのための、ドレスを買わなくちゃ! その後すぐにコーラスのグループでのフォーマルディナーもあるし、クリスマスダンスパーティーもあるから、いいでしょ?」

ドレスを買いに行ったのが、バールミツバが行なわれた土曜日の昼間。近くの店を何軒もはしごして、数時間かけてようやくシナコのサイズにあう洋服を買った。私が誕生日に、夫とシナコからもらったギフトカードを使って! ま、出費はゼロってことで、いいんだけどね。

さて、何をプレゼントに持っていくか? シナコ曰く、「みんな、お金をあげるんだって。」
「幾ら?」
「100ドルくらい」
「え~?! 100ドルも!友達の、しかも弟でしょ? 多すぎるよ!」


しかし、前日にシナコのお友達に会ったときに聞いてみた。
「いくら持っていくの?」
「あの子のお家には、〇〇コンサートにも連れて行ってもらったし、あれも何百ドルかしてたと思うし、108ドル。18の倍数がユダヤ教では、縁起のいい数字なの。」
「あなたもユダヤ人?」
「私はハーフ。お父さんはユダヤ人。でも、お父さんはバールミツバはしてないって。」

100ドル以上も・・・。子供のお付き合いで100ドルというのは法外。しかし、確かにシナコもそのコンサートには連れて行ってもらってる。こっちの常識もわからないし、どうしたものか。
結局、判断は夫に任せた。
無論、横並びの108ドル。

夕方5時。会場へは地図を見ながら行った。シナコを降ろしたところは、カントリークラブの中にあるホテルの前だった。ストレッチリムジンが停まり、その他の車から降りてくる人も、一様に正装している。さながら結婚式の披露宴みたい。

そうなんだ。きっと、バールミツバは、結婚式に匹敵する重要性を帯びているのだ。そう思うと、108ドルも妥当な額に思えてきた・・・。

10時に再びシナコを迎えに行った。さながら引き出物のごとく、大きな紙袋を持ち、中には写真を合成した額が2つ。パーティー会場に、業者が来ていて、子供たちの写真をお土産に撮ってくれたんだって。

インセンティブ - アメリカの大学事情9

先日、日本のテレビ番組で、アメリカの医療保険事情を特集していた。

アメリカの医療保険は、個人で買うもの。但し、低所得者にはメディケイド、高齢者にはメディケアという医療保障があるから、一番困っているのが中流層である。保険料があまりに高額なため医療保険に加入していない人がとても多い。

そういう意味では、国民全員に医療が保障されている日本はすばらしい。「郵政民営化」に続いて、「社会保険民営化」とか「国民健康保険民営化」とかが、起きないことを切実に願うわ。

医療保険と同じように、今の大学の学費に一番苦しんでいるのは中流家庭。 所得が少なければ、ファイナンシャルエイドを得ることができる。でも、ある程度の所得があれば、「支払可能」とみなされてしまう。実際にはそうでないから、プライベートの学費ローンを組んだりする。利率も高い。

ファイナンシャルエイドとして、無償のグラントと、通常はパッケージでオファーされる、連邦政府の学生に対するローンの利率は、年間4000ドルまで、合計20000ドルで、年率5%。在学中の利息は政府が肩代わりしてくれる。これ以上に必要なら6.8%で、倍額まで借りることが出来る。

この利率も決して低くはないと思うけれど、これに対して、援助が必要でないとみなされた場合に、両親が連邦政府から借りる場合の利率は8.5%。連邦政府にしてこの利率。学生相手のプライベートローンも、最低でもこのくらいの利率。また「悪質」なローンもあると聞く。学生の中には、卒業後からの月々の返済金が300ドル以上になり、支払不能に陥っている人も多いらしい。驚いたことに、学費ローンだけは自己破産しても免除されないらしい。

学費で頭を悩ませている中流層が増えている中で、最近ではいろいろなところから、雇用確保を目指して、学費を対象とした「インセンティブ」が提示されている。

まずは、社員を対象とした奨学金や授業料払戻しシステム。その会社で働きながら大学に通うような場合だ。多くの会社が社員のスキルやキャリア向上のために、奨学金を出しているが、これらは既に社員となってその会社で仕事をしている「大人」を対象としており、学士より、修士以上の学位が対象の場合が多い。これは、キニコのように、これから大学生になろうという者には使えない。

そんな中で、ひとつ大胆な取り組みをしている会社がある。アルバイト社員に対する学費支援システム。総額で、最大年間6000ドル。UPSという会社だ。日本で言えば差し詰めクロネコヤマト。フォーーチュン500にも含まれる大企業である。UPSのウェブサイトで見つけた支援内容は下記の通り:

3000ドル/年 パートタイム従業員(週20時間)
4000ドル/年 (パートタイム・スーパーバイザーの場合)
2000ドル/年 学生ローン
医療・生命保険
401Kプラン
土日祝休み、有給休暇あり
割引株式購入プラン

週20時間というのは、決して簡単ではないが、それでもこれはかなり大胆なオファーと言える。
(日本では、新聞配達をして学費を稼ぐ制度があったような気がする。どのくらいもらえるのかな。)

以前に噂で、AT&Tの社員には、社員の子供のための学費援助があると聞いたことがある。インターネットを駆使して調べたのだか、事の真偽はわからなかった。

企業が社員の子供の大学費用に対して補助を提供している例として見つけたのは、保険会社のGEICOとAflacだった。いずれも年間1000ドルとか2000ドル程度。

従業員の子供に対する補助・援助として手厚いのは、公的機関や大学である。殆どの大学では、職員やスタッフの子供に対しては、大幅な割引から無料まで、寛大なサポートがある。

そう言えば、高校の例だけれど、キニコの去年のルームメイトのベッカは、デイスチューデントだった。つまり、寮に机はあるものの、ベッドはない。近所に自宅があるので、夜は自宅に帰るからだ。ベッカのお父さんは、キニコの学校のグラウンドキーパー。校庭の整備のほか、夏は校内の芝生の手入れ、秋は落ち葉掃除、冬は雪かきの仕事がある。ゴルフ場もある広大な土地だから、複数のスタッフがおり、彼はそのチームのヘッド。ベッカには2人の兄がいて、2人ともキニコの学校を卒業している。普通の学生と同様に、合格しなければ入れないが、合格した場合の学費はゼロ。今年の授業料は30000ドルだから、社員のベネフィットとしては、手厚い。ベッカのお父さんがこの仕事を選んだ理由も、このベネフィットが目的だったと言う。

さて、様々な雇用促進のインセンティブがある中で、最もユニークなのは、「カラマズープロミス」と呼ばれるもの。ミシガン州にカラマンズーという名の町がある。ケロッグの本社があるバトルクリークのお隣。優秀な人材が、田舎から流出してしまうことを防ぎ、同時に若い人材を外から取り入れるための試みである。

1年ほど前に始まったこの新しい施策の内容は、カラマズー市内の公立学校と高校に規定の期間在籍し卒業した者には、ミシガン州内の公立大学の授業料が最大で無料になるというもの。補助の割合は在籍年数で決まる。

幼稚園(1年生になる前の1年)から高校の最終年である12年生まで13年間通えば100%で、無料。
1年生―3年生~12年生までなら、95%の補助。
4年生~12年生 90%
5年生~12年生 85%
6年生~12年生 80%
7年生~12年生 75%
8年生~12年生 70%
9年生(高校)~12年生 65% 

10年生以降の在籍では全く補助は出ない。カラマズーの公立学校に通うには、カラマズーの居住者でなければならない。つまりこれは子供の小さい若い家族をこの土地に誘致するための対策である。実際、これがどのような成果をもたらすのかわからないため、この試みは10年後には見直しがかけられることになっている。

あー、こういうことを、もっと早く知っていたら、カラマズーに移住するか、どこかの大学の掃除夫か何かの口を探すんだったのに・・・。

2007年11月8日木曜日

冷蔵庫

ある日、冷蔵庫を開けると、内側の壁を水が伝って流れた跡。このところ、冷蔵庫の底に水が溜まっていることがあったが、原因はこれ? どうやら、上の冷凍庫の方から来ているみたい。

早速、大家さんにその旨Eメールをした。
「別に、このまま使えますけれど・・・そろそろ寿命でしょうか。」と書いたところ、
「あの冷蔵庫は、もう30年くらい使っているから、買い換えましょう。冷蔵庫の入るスペースのサイズを測って教えてください。」

やった~!! 
確かに、色も今どきの色じゃなかったし、省エネの前世代のものだから、これからは電気代も安くなる!

新しい冷蔵庫の配達が2,3日後に迫った頃、大家さんが家の手入れにやって来ることになった。その朝、冷蔵庫を確認すると、あら不思議。水が伝わった跡も、水も溜まってもいない。(あの日は、シナコが氷を作っていたかも・・・トレイの水をこぼしたのが原因だったか・・・。) 別段今更、冷蔵庫がキャンセルされるはずでもないのだが、なんとなく後ろめたく、あわててコップで水を汲んで、内壁にたらし、一番底にも水溜りを形成。大家さんはそこまで確認もしなかったけど。

とうとう新しい冷蔵庫の配達! 
今度の冷蔵庫は、自動の製氷システムがついている。これでシナコが水をこぼす心配もない。

冷蔵庫が設置された。が、ふと疑問がわいた。
「あの・・・自動製氷ってことだけど、一体どこから水がやってくるの?」と、シアーズの配達員に尋ねる。
「これは、『自動』なんです。自動ってことは、それも自動なの。だから自動なんです。」

ええー? ひょっとして、冷蔵庫の中の食品から蒸発する水分でも集めて、氷にしているわけ? ならば画期的。でも、そんなに大量の水分が出るか? 納得がいかないので、メカニズムを説明してよとか、しつこく尋ねる。
「マダム、僕は1日に十何台も冷蔵庫を配達しているんですよ! これは自動なんです!」

でも、やっぱ、納得できないよ。
いらだっている配達員を尻目に、必死になって説明書のページを繰る。

「ほら、あった! やっぱり後ろのパイプに、水道を繋がなくちゃいけないんじゃないの!」
幾ら技術が進んでいるったって、氷の元となる水がなくっちゃ、氷なんて出来るわけないじゃん!

さっきまで自信満々だった配達員君。ふてくされながらも、早速、冷蔵庫の裏側を確認。
「あ、ありますね。でも、お宅は水道管が近くにないから、繋げません。」

果たして、自動製氷機能は使えないまま、相変わらず製氷皿で氷を作っている。

でも、それよりももっと重大なことが。
私が大家さんに伝えたサイズと、大家さん理解したサイズに行き違いがあり、新しい冷蔵庫は、以前よりも、さらに一回り小さくなってしまったのだ!

つまり、無駄な買い物をせず、悪くなった食品をいつまでも後生大事に取っておくなってことか・・・。

2007年11月7日水曜日

アメリカの大学受験と早期申し込み - 大学事情8

日本で流行のAO(アドミッションオフィス)入学というのは、そもそも通常のアメリカの大学受験を模倣したものらしい。アメリカの受験は、日本のように各校にて試験を受けたり、面接を受けたりはしない。合否の判定は、各大学のアドミッションオフィスに提出する一連の書類(アプリケーション)とSATの得点で決まる。SATの得点よりも、学校の成績、先生からの推薦状、受験者のエッセイなどで構成されるアプリケーションの内容の方が比重は高いと言える。その証拠に、ハーバードを受験した生徒の中で、SATが満点だった生徒でも何十人も不合格となっている。

日本の試験での一発合格とは違い、高校生活の4年間(実際には11年生までの3年間もしくは、12年生の前半までの3年半)の学業および課外活動の内容が、評価の対象となる。故に、成績はかりではなく、学校内外での活動実績(スポーツ、クラブ活動、ボランティア、夏季休暇中の仕事やその他の体験など)が重視されるため、本来の高尚な動機を外れて、計算高い気持ちでボランティア活動に参加する生徒も多い。(動機はどうあれ、ボランティアをしてくれるのだから、文句を言う筋合いはないのだが・・・。)

有名な私大では、本人の実力とは別に「レガシー」が考慮されるところがある。つまり、歴代この大学の卒業生であるとか、寄付金の多い家族といった具合に。ブッシュ大統領がエール大学というのも、頷けますね。

すべてのアプリケーションは、郵送またはオンラインでの提出であり、エッセイも自筆ではなくタイプであるから、誰が書いてもわからない。そこで、親が替わりにエッセイを書くといったことも、実際にはあるらしい。しかし、文章の上手下手を問うよりは、その生徒がどういう人物であるかを伺うための資料となるので、上滑りの上手な文章よりは、下手でも、個人の意見や考えを綴った内容が求められている。
アドミッションオフィスに提出された資料は、地区毎の担当者が隅々まで見て、推薦できる生徒のファイルを選ぶ。が、推薦しない生徒のファイルも、次の担当官へ渡される。こうして、だいたい3段階くらいの人の目を経て、最終的な合格者が選出される。文句なく合格というファイルは簡単に選べるのだが、ボーダーラインの中から、誰を合格にして不合格にするかが一番難しいらしい。そういう場合は、最終的な選考会でのディスカッションになる。
どうして知っているか? キニコの高校で、ハーバード、シカゴ、ボストンカレッジ、ユニオン大学のアドミッションオフィスの担当者が来て、説明会があったのだ。その際、模擬アプリケーションを渡され、参加した親たちがアドミッションの担当者という設定で、誰を合格にするか、不合格にするか、ディスかションをしたのである。

「A子ちゃんは、確かにB子ちゃんよりも成績は少し悪いけれど、この子はどうやら片親だし、エッセイを読んでも、XXを勉強して、病気の母の役に立ちたいという気持ちがあるので、私はA子ちゃんを合格させたいと思う。」
「C男は、成績はひどいが、ボート部のキャプテンで州大会でも優勝している。しかも彼の父親は、医者だし、大学としても寄付金は大事ですからね・・・。」
などと、まことしやかに話し合い、最終的には皆で多数決で決めたのである。


さて、受験の過程に、面接があるが、一般的に面接は必ずしも受ける必要はない。面接を希望する場合は、大学を訪問した際や、大学側がカレッジフェア(大学説明会)として高校を訪れる際、または遠方の場合は、各地域別に大学を代表する人物がいて、面接を受けることができる。面接官の評価は、個人の主観によって差があるため、合否にはあまり影響はなく、逆にその大学に興味がある生徒が、大学について質問する場としても利用される。であるから、必ずしも面接を受けた大学を受験する必要もない。

その昔、私が日本の大学を受験した時、受験会場として大学を訪れたのが初めての大学訪問だった。その時に、「げっ、この大学、こんなボロいの・・・」とか思っても、時既に遅し。実際に入学した大学は、受験会場が別のところだったから、入学式で初めてその大学を訪れた。「ひぇ~、なんて辺鄙なところにあるねん!」と思ったものの、あとの祭りだった。
通常、アメリカの場合は、早い人で11年生になる前の夏休みあたりから、遅くとも12年生になる前の夏休みには、大学訪問をする。我家の場合も、11年生の春休みにようやく重い腰をあげて、車で行けるところの大学を、4校一度に見学した。

ちなみに、そのうちの1校は、全くの冷やかしのハーバード。ギフトショップでミーハーに、ハーバードグッズでも買おうかな~と、近くをうろついていたら、キニコの同級生に出くわした。「うちはTシャツを買いに・・・」っと、得意になって言いかけたら、キニコにぎろっと睨まれて、母は沈黙。父親と一緒だったその青年は、「UPennとジョージタウンとコロンビアと・・・」と一流大学ばかりを見て回っていたようだ。
この夏休みにも、2回に分けて、キニコと2人で、合計7校ほど訪れた。まともに見学ツアーに参加し、面接まで受けたところもあれば、チラッと見て、ここはもういっか・・・と去ったところもある。ある街中にある大学では、ツアーの途中で、「ねぇ、キニコ、あんたここで勉強できると思う?」と聞くと、
「・・・私もそう思ってた。」
「でしょ。こんな誘惑の多いところじゃ、絶対ダメやわ。時間の無駄だから、抜けようか?」と、ツアーの途中で脱落。
大学の申し込み時期は、早期と一般の2種類がある。早期の申込締切は11月1日~15日あたり、一般は1月1日~15日あたりというのが標準。合格発表は、早期が12月15~末、一般は3月半ば~4月半ば。
日本なら、早期=推薦入学ということで、合格確率が高い場合が多いが、アメリカの場合はあながちそうでもない。大学進学が加熱している昨今は、早く決まってストレスから解放されたいと望む「親子」が増え、早期申込者が増えて、競争率が高くなっていると言う。早期で取る生徒の人数は、大学によって差があるが、一説には3分の1とも言われている。
早期申し込みにも、幾つも種類があってややこしい。扱う種類は大学によって違う。主な種類は下記の3つ。

Early Decision
Early Action
Early Action 2

ひとつ目のEarly Decisionは、受験して合格したら、必ずこの学校に行かなければならない。つまり、1校しか受験できない。但し、ファイナンシャルエイドを申し込んでいる場合に、エイドの額が少ないと言う経済的な理由での辞退は許されている。

Early Actionは、受かっても必ず行く必要はないので、複数校受験できる。Early Action 2というのは、通常の早期より申し込み時期が遅く、1月1日まで。つまり、12年生の1学期の成績まで、SATももう少し遅い時期までの結果を送ることができる。1月1日は通常の申し込み期限とほぼ同じだが、発表が早い。受かっても必ずしも入学しなくてよい。

早期で受けた場合の、合否の種類も、合格、不合格のほかに、「延期」というのがある。つまり、早期での合格は認められなかったが、次回の一般受験者に加え、改めて合否を判定するというもの。但し、「延期」された場合に合格することはあまりないらしい。


ということで、わが娘のアプリケーションの話になるのだが、まず学業成績は平均がB。スポーツも、女子サッカー部のマネージャー、冬はアイスホッケークラブ(チームではない!)と、アスリートじゃないし、生徒会だとか、スピーチコンテストで華々しい成績を修めた、な~んてこともない。唯一書けるのは、一昨年の夏休みに中国で英語を教えるボランティアをした、今年の春休みにフロリダで、家のない人のために家を建てるHabita for Humanityのボランティアをした。(素人の子供が釘を打って建てた家なんて、怖くて住めないよ・・・まして、ハリケーンがしょっちゅうやってくるフロリダだぜ!)

望み薄とはわかっていながら、上記の「早く決まってストレスから解放されたいと望む親子」である私たちは、早期申し込みをしてしまったのですよね。

本当のことを言うと、大学の合否もさることながら、ファイナンシャルエイドが一体もらえるのかどうか、もらえたとしたらどのくらい出るのか、早く知りたかったのだ。望みを4月末まで持ち越したくなかったのだ。但し、一般の時期なら、「他校のエイドパッケージと比較して交渉も出来る」と言われたのだが、幾らなんでもその差が大幅に違うと言うことはなさそうに感じた。

キニコが申し込んだ大学は、合否が12月15日、合格した場合にはファイナンシャルエイドの見積もり額が12月末にはわかる。不合格になったらなったで、あきらめてくれるし、合格してもエイドの額が大幅に少なければ、あるいは出なければ、今後どの私学を受けても、内容は大差ないと思えるので、そこで、娘には現実を知って、早期にあきらめてもらいたい・・・そんな思いがあったのだ。

さて、キニコの運命やいかに。

2007年11月6日火曜日

エレクションデー

と言うことで、昨日は学校がお休みだった。きっと学校が選挙会場にでもなるのだろう。

日本の選挙と違って、アメリカの選挙は毎年この日と決まっている。来年の大統領選も、同じくエレクションデーに行なわれる。すべての選挙と投票が、同時に行なわれるから、効率はいいと思う。

解散のたび、あるいは補欠選挙を、年がら年中やっているどこかの国に比べれば、選挙のコストが必ずしも少ないとは言わないが、少なくとも管理費用は抑えられているはず。

連邦法では、大統領が、大統領の職務を遂行できなくなれば、副大統領が大統領になるし、議員が任期中に死亡したような場合には、州知事がその任期を遂行する代理人を任命することが多いため、補欠選挙はあまり行なわれないからだ。

日本では、選挙前には、駅前でタスキをつけた候補者が、握手を求めてきたり、宣伝カーが、最後の最後まで、「最後のお願いに参りました」と大声を張り上げて回って来たり、七三分けか、九一で頭の隅から無理やり中央まで引っ張った髪型の、脂ぎった顔の男性、はたまたレトロ感溢れた化粧またはパーマの女性の、たいていは町の美化に貢献しない笑顔がいたるところに並んでいる。

それに比べると、こちらの選挙はおとなしいものだ。(あ、大統領選だけは、派手はバスツアーなんかがあるけど。)


これが選挙ポスター。こんな風に、直接地面に立てられいる。

写真もないから、これじゃ容姿や年齢はわからない。もちろん人種も。場合によっては、男性か女性かもわからない場合もある。

まさか、それが意図なのかな~。(小さい町だと、たいてい誰が誰か知っているものだけれど。)

2007年11月3日土曜日

ファイナンシャルエイド1 - 大学事情7

アメリカの大学生の65%は、何らかのファイナンシャルエイドを受けていると言われている。
でも、逆に言うと、残りの35%は受けていないわけ??? べらぼうに高い授業料を、丸々ポンと払える人がいるって言う方が驚きだけど・・・。

ファイナンシャルエイドには、次の3種類がある。
連邦政府のエイド
州政府のエイド
私的機関(私大)のエイド

連邦政府の奨学金は、私立大学、公立大学に関わらず、すべての市民と永住権保有者が対象。
州政府のエイドは、あまり良く知らないが、恐らく州立大学の場合に、個別の大学が出すものと思う。私大のエイドは、自校の生徒に対するエイドである。

殆どのエイドは、Need-based(必要に応じた)エイドであり、幾ら成績が優秀でも、家庭が裕福であれば受けることはできない。しかし、成績がとても悪ければ、エイドを払ってまで学校に来て欲しくもないわけで、同じ成績なら、エイドの不要な生徒を取るのは当然のこと。たまに、Need-blindと言って、大学の合否と、エイドを出すかどうかは、全く区別して審議する学校もある。

エイドは、たいていが下記の3種類で構成されたパッケージでオファーされる:
1.無償のグラントまたはスカラーシップと呼ばれるもの
2.ローン
3. ワークスタディー

1.は返済不要だが、2.は学生が借主となる借金。多くの学生は卒業してからも、20~30年くらいかけて返済を続けている。今は、月々100ドルくらいの返済のようだが、どのくらい借してくれるのか、利率はどのくらいなのか詳しいことは知らない。現在の学費では、今後の返済額はこんなものでは済まないかもしれない。3.のワークスタディーは、キャンパス内での仕事。一般的にはワークスタディーをしている学生の方が、していない学生より成績がいいらしい。外に遊びに行く時間もお金も制約されるから?

ファイナンシャルエイドの推奨額を決定するのは、連邦政府のFAFSAと言う機関と、SATという標準テストを行なっているカレッジボード。エイドを希望する者は、必要な情報と確定申告のコピーを添えて、入学年度の2月1日までに申し込みを行なう。申し込み書には、収入や家のローンのほかにも、兄弟姉妹の学費事情や、その他の細かな財務情報を書き込む。また、申込書の項目だけでは書き表せない特殊な事情を説明することができる空欄もある。

我家は、この奨学金のために永住権を申し込み、現在は最終段階。恐らく2月1日の申し込み期限までには、間に合わないが、事情を説明すれば考慮してくれるだろう、というのがカレッジボードの説明だった。

うちの場合は「見せ掛け」の給料は多いのに、可処分所得はものすごく少ない。実際には毎月赤字のこの状況を、出来るだけ細かに説明しなければならないのだが・・・果たしてどこまで理解してもらえるだろうか。

FAISAやカレッジボードの推奨エイド額の情報が、各大学に送られ、実際のエイドの額は、個々の大学が決定する。だから、多少は交渉の余地もあるようだ。是非この学生が欲しい!と思えば、ちょっとは色をつけてくれることもある。複数の学校からオファーをもらった学生は、各校と交渉して、少しずつ吊り上げ、出来るだけたくさんエイドが出る学校を選んだりするのだ。

うちのキニコも、このくらいやってくれたら・・・。私たちを、打ち出の小槌とでも思ってるんじゃないか。逆さに振っても血も出ないのにさ。

行き倒れ

聞きたいことがあってメールをしたら、電話がかかってきた。

リヤド以来、家族ぐるみで付き合ってりる友達が何組かある。その中の一軒。

日本は夜。取りとめもなく話をしていたら、随分遅い時間になってしまった。向こうの子供たちはまだ小さい。

「子供たちもう寝ささんとアカンのちゃうの?」
「あぁ、もうとっくに行き倒れてるよ。」
「ほんなら、お布団に入れないと、風邪引かすやん。」
「ええねん、しょっちゅうやから。そう言えば、シナコこそ、いっつも行き倒れてやん。ようゲームしてたテーブルの下で寝てたで。」

数家族集まって、しょっちゅうトランプをしていた。たいていは「ナポレオン」。ポイントあたり小額をかけて。勝っても負けても100リヤルとかそんなものだったけど。
何故か弱い我が家は、みんなのカモだった。

「えぇ? そうやったっけー。。。」
「そうやん、放ったらかして、ずっとゲームしてたやん。」

そうか、シナコの行き倒れ癖は、この頃に端を発していたのか。ってことは、シナコの行き倒れの責任の一端は私にあるってこと?

一昨日は、私が遅くまで「内職」をしていて、ふと不吉な予感がしてファミリールームを覗きに行くと、電気は煌々、テレビは大音量でついたまま、ラップトップもつけたまま、おまけにそのラップトップのキーボードの上に両足を乗っけて、洋服のまま、メガネもかけて、グーグー寝ている。シナコが風邪を引こうが、宿題のエッセイが途中から、踵でタイプした訳のわからない文字の羅列になっていようが、そんなことはどうでもいいけど、コンピュータが壊れるじゃない!!!

シナコは、1回や2回声をかけても起きない。優しくゆすぶるだけじゃ全然ダメ。おまけに寝ぼけるのだ。だから寝入る前に、何とかベッドに行くように仕向けないといけないのだが、不覚にも内職に没頭していた。大声でたたき起こしたら、夢遊病者のように、部屋に戻っていった。果たして、洋服のまま、歯磨きもしないで寝てしまった。朝になって、宿題が終わってない、どうして起こしてくれなかったのよ~と、騒ぐことも日常茶飯。

数年前のこと。床で行き倒れているシナコを起こして、「着替えなさい!」と言ったら、なにやら落ちていた雑誌を拾い上げ、ページを広げて、その下に腕を通している。ページを繰っては、また腕をその下に。
「何してるの・・・?」
「・・・・うん・・・着替え・・・・」
思わず大爆笑したら、とうとう我に返って、「???」という顔をしていた。

一体何歳まで寝ぼけるつもりか。

ところで、この友達に、「ねえ、ブログ読んでくれてる?」と聞いたら、
「だって、長いねんもん。」

そやなぁ、もっと短く笑わしたいねんけど、なかなか難しいんよね。

あ、ついでに今朝の話。目が覚めたら8時24分。
びっくりして、シナコの部屋に。
「シナコ、ごめん! 8時24分! 目覚しならなかったみたい!」
「・・・・・」
「起きてよ、大変!」
「・・・ママ、今日、土曜日だよ・・・」

さすがの母子。

2007年11月1日木曜日

グリニッチ

結局、昨日は全部で2組、合計4人の子供・・・と言っても高校生くらい・・・が、お菓子をもらいに来ただけだった。残りのお菓子は、さぞかし私の想像妊娠に貢献してくれることだろう。

シナコは袋一杯のお菓子を満足気に抱えて帰宅。
「ほんまに、えー加減な恰好して回ったんでしょ?」
「えーかげんじゃないよ。オレンジのシャツに枕を入れて、髪の毛に緑のリボンをしてかぼちゃになった。アレックスは黄色の洋服でバナナ、他の子が赤いTシャツに枕を入れて、緑の葉っぱをフェルトでつけてりんご、あと2人がグリーンの風船と紫の風船を身体に一杯つけてブドウ。」
「そんじゃ、あの後必死になって変装してたわけ?」
「そうでもない。10分で終わった」
・・・10分で。やっぱりええ加減な変装のような気もするが、変装しないでお菓子だけもらいに来る子もいるから、まあ頑張ったか。

ところで、さっき郵便局に出かけた。常々感じていることだけれど、つくづくこの辺りは外車が多い。どこの家でも少なくとも1台は外車。日本車も走っているが、レクサスかアキュラ。あ、オデッセは、案外多い。

今日も、帰る道々、交差点で止まるたびに対向車を見たら、ベンツかBMWかアウディーかレクサス。私は、友達から譲り受けたカローラ。この車で迎えに行くと、見栄っ張りのシナコは、「オデッセで来てよ!」と言う。

ガソリンが高騰している中、近所をうろつくにはオデッセはガソリンを食うのだ。郵便局へ行ったり、買い物したり、シナコの送り迎えにはカロ子ちゃんがうってつけなのだ。

実家の芦屋に帰ったときも、いつも外車が多いなーと思う。それでも芦屋の方が市民の層の幅が広い。芦屋じゃ小市民でも、この辺りじゃ極小市民。そして極小なのは日本人とほんの一部の人々で、他は富豪ばかり。

彼らには私大の授業料なんて、簡単に支払えちゃうんだろうなぁ~、と、私はまたしても学費のことを考えている・・・。タメイキ。