このシリーズも「20」となり、きりがいいので、今回でおしまいにします。(ぱち、ぱち、ぱち・・・)
キニコの進路は、ほぼ決まりました。先週の日曜、夫と私でキニコの高校まで車で出かけ、近くのレストランで話しました。
夫: 「で、どこに行きたいの?」
キニコ:「ホプキンズかディキンソン」
夫: 「じゃ、ホプキンズは金銭的に無理だから・・・」
と、ディキンソンにあっさり決まり。ただし補欠のミシガンに合格したら、ミシガンに行く、ということになった。
口を挟まないと決めていた私だが、「ママは、こうしろとか言わないことにしたから言わないよ。でも、なぁー。クラークソンだったらなぁ。で、ベッカはどうなったの?」
ベッカは最終的にクラークソンに決めたとのこと。彼女は、キニコが補欠になった優秀者プログラムに入り、奨学金もかなりもらい、最終的に年間に支払う金額がたったの7500ドルなのだそうだ!!
「その代わり、車を買ってもらうんだって。中古だけれど。」
「そりゃそうだ、ママだってキニコがクラークソンだったら、車買ってあげたよ。」
破格の奨学金は、ベッカのお兄ちゃんもクラークソンだと言うこと、そして収入と大学生が二人いる家庭という経済事情を考えれば、差があって当然のこと。これはキニコの問題ではない。
ただ「なんで優秀者プログラムに補欠になったのか、解ってるんだ。」と、キニコがこの日初めて説明したのを聞いて、私は超不機嫌になってしまった。
キニコがクラークソンに行きたくなかったのは、多分、優秀者プログラムに確実に入れる保証がなかったから。ところが、補欠になった理由が、そのコースを希望するに当たって提出したエッセイをクラークソンに受け取っていないと言われ、再提出しなければならなかったのに、ちょうど春休み中だったため、陸上部のキャンプに参加していて期限に間に合わなかったからだと言うのだ。
私がむっとしたのは、ぎりぎりに提出したためにこんな事態になったこと。そして、一事が万事この調子の娘が、人生の大事な局面に際しても、同様だったこと。それでみすみす15900ドルを棒に振ったと思うと、腹が立ってしかたなかったのだ。
「あー車も買えたねー。2台は買えたわ。新車だって! あーあ、大学院のお金は出せないって言ってるけど、クラークソンだったら、その差額分を大学院に回すってことだって可能だったのにさ・・・。あーあ!」と、ぶつぶつ言い続けたら、とうとう夫が、「お前はしつこい!」
そこで今度は夫婦の口論に発展。
「わかった。でもパパが約束したんだから、学費はパパが出してね。」
「でも、お前も協力してよ。」
「するけど、約束した額しか出さないからね。」
「何でそう言うわけ。できるだけ協力してよ。」
「でも確約はしない。約束した額は出すけど、それ以上はわからない。」
「なんで、そう言うわけ。そうか、お前は自分の稼いだ金は自分の金ってことなんだな。」
「そうだよ。いざ離婚したときのために、ちゃんと取っておかなくちゃいけないからねっ!」
レストランのお客もちらちら私たちを見ていた。
キニコは、会ったときからずっとぶすっとしていたのだが、目の前でお金のことで喧嘩されても、我関せずという体で、相変わらずブスっとしていた。
++++++++
この大学騒動の間(まだ終わったわけじゃないが・・・)、親にとっても子にとっても、本当にストレス一杯だった。振り返って今、心から反省している点がひとつある。それは、キニコが大学に合格したというお祝いムードがゼロだったこと。考えてみると「おめでとう!良かったね!」という言葉は一度もかけてやらなかった。「おめでとう、でも、決まったわけじゃないから」ずっとこんな言い方をしていた。
子供が大学に合格したのに、喜びは一切なくて、口をあければお金、お金。キニコもやるせなかっただろうなぁ・・・。とても可哀そうなことをしたと思っている。
週末に帰宅するので、そのときに謝ろうと思う。(ちゃんと聞いちゃくれないだろうけど。)
++++++++
キニコとしてもかなり疲れたらしく、「考える時間が必要」として、ギャップイヤーを取ることに決めたと、日曜日に私たち告げた。学校の先生も推奨していて、どのプログラムに参加するかはまだ決めていないが、取り合えず入学のタイミングを1年遅らせて、1年間は学校から離れて別のことをしたいらしい。「そのほうが、大学に入ってから、勉強に専心できるから」とキニコは言う。そうなるかどうか解らないが、疲れているのは確かなので、ここは本人の自由にさせることにした。
基本的には、ギャップイヤーのために出すお金はないとしながらも、別れ際に夫が、「でも、少しぐらいなら出してあげられるかもしれない」と言っていた。これを聞いて、なんだかほっとした。やっぱり私たち、甘いのかなぁ。
+++++
ディキンソンかJHUかで、まだ迷いがあった時、私がJHUに電話をして確認した事項がある。
参考までに、下記がそのときのQ&A。
Q: FAの決定は、経済的状況のみを考慮したものなのか。生徒のレベルも考慮の対象なのか。他校からはオファーをもらっているが、何故差が出るのか。
A: レベルは全く関係なく、経済的状況のみを考慮したもの。他校がどのような判定基準を使用しているかわからないが、連邦政府の奨学金とは違い、学校からの奨学金の場合は、学校ごとに判定基準が違う。JHUの基準に照らし合わせて、お宅にはFAは出せないと決定した。既に今年入学者へのFAの枠は使い尽くしたので、この決定は翻らない。
Q: 将来、家庭の経済状況が変わった場合には、見直しはされるのか。帰国後、大幅に収入が減ることが見込まれるが。
A: もちろん見直しに値する変化があった場合は、見直しはされるが、1年生の入学時にその学年へのFAの割り当てが決めら、必ずしも見直しされるという保証はないので、入学時の学費を4年間支払う覚悟を持って、入学を決めてもらわなければならない。
Q: 将来、兄弟姉妹が大学に進んだ場合の、学費負担はどのようになるのか。長子が100%払い、次が30%などの負担割合になるのか。
A: 学費負担は、兄弟姉妹の間で等分される。大学生の子供が二人なら、Familiy Contrubutionをそれぞれに半分ずつ支払う形になる。
Q: もし、今年はJHUに行くことを断念し、将来途中編入を希望する場合、一度JHUに合格したことは考慮に入れられるのか。
A: 編入率は、8%であるので、非常に低い(厳しい)。
Q: Harvard、Yale, Stanfordなどの大学では、FAの見直しがかけられている。JHUは今年はそういった方針の変更がなかったようだが、将来的にこういう動きがある可能性はあるか。もしその場合に、対象はその年の新1年生だけなのか、全員が対象になるのか。
A: 現在、見直しがかけられている大学は、寄付金規模のかなり大きな大学である。本校の寄付金規模を考えると、恐らくそういった動きはないであろう。万一見直しがあったとすれば、全員が対象となる。
Q: 学生が、被扶養家族ではなく、経済的に独立していると考えられるのは、どのような状況か。
A: 連邦政府の法律で、1. 満24歳になったら。 2. それ以前は、結婚すれば。
++++++
と言うことで、「結婚は遅いほうがいい」と言っていた私だが、できちゃった婚でも何でもいいから、早く結婚して欲しいかもしれない・・・。ただし、孫の面倒は見ません!
3 件のコメント:
こんにちは
アメリカの大学事情ー20巻読ませていただきました。その通りとうなずけるところがおおく、仰っている事柄には同感です。力作ですね。ご苦労様でした。
もし、ご迷惑でなければ、私のブログで機会をみて、このブログの存在をご紹介してよろしいでしょうか?実は、私もつたない誤字だらけのブログを書いておりまして、その記事の中にはアメリカの大学入学、大学関連のものも多くあります。
URLは http://ameblo.jp/calperch
ですので、お暇な時にはお訪ねください。
私の息子はカリフォルニアの公立高校からNeed Blind Admission(お恥ずかしいのですが、こんな制度があるとは知りませんでした。)のPomona Collegeに入学しました。
今でも、なぜ彼が同程度の学力や能力のある他の競争相手を差し置いて合格したのかという根拠が今ひとつ分かりません。これがアメリカの私立大学の合否の不可解さだと感じています。
まえのコメントから誤解をされているかと危惧するのですが、$100000は息子が高校1年の時点で全額用意できていた訳ではありません。この数字はその時点での大学資金の蓄えと、それ以後の収入から教育費に回せる金額を合わせてのもので、今でも毎年の収入の一部は大学の経費となっています。
低所得の我が家では、100% Need Met Financial Aidが出せる私立大学以外には息子を進学させる事は出来ませんでしたから、もし、Pomonaが不合格であったら、UC Berkleyに多分彼は行っていると思います。
長々と失礼しました。
Calperch
Calperchさま
ブログを紹介してくださること、勿論OKですし、嬉しく思います。Calperchさんのブログも後で覗かせていただきます。
ところでPomonaとは、息子さんはとても優秀な所に行かれているのですね。リベラルアートカレッジは、日本ではあまり知られていませんので、私も娘が大学進学するに当たり、初めて知りました。当初はPomonaも娘のWish listに入っていましたが、身の程を知ったのでしょう。いつの間にか消えていました(笑)。Pomonaは2008年のUSNewsでは7位でしたね。
娘は私がランキングを気にするのを嫌がっていましたが、アメリカの大学に通じていない私たち両親にとっては、USNewsやWashington Monthlyはある程度の目安になりました。だって、海のものとも山のものともわからない大学にお金は出せませんでしょう・・・。
他にも西海岸の大学を最初は考えていたようですが、最終的に選んだのはすべて東海岸の大学でした。西だと旅費だけでも馬鹿になりませんので、ひょっとして娘なりにそんなことも考えてくれたのかも。
10万ドルの件、解っていましたよ。早期に親としての計画を立てて、それを息子さんにあらかじめ提示されたということが偉いと思います。私たちは、「お金はないよ!」といいながらも具体的な数字を提示したことはありませんでしたし、未だに、一体幾らなら出せるのか、それも解りません。下の娘もいますし、気がついたら、学資ローン地獄で破綻するなんてことに至るのかも知れません。
蛇足ですが、昨日会ったアメリカ人と結婚されている日本人の女性が、「ようやく3人目が大学を卒業して、ほっとしてる。一時は二人が大学生で、年間10万ドル払っていました」とおっしゃっていて、驚きました。奨学金を申し込まれたことはなかったとのこと。
彼女の家庭がどのくらい裕福なのかはわからないのですが、案外、奨学金はもらえないものと、初めからあきらめている人も多いのかも知れませんね。
Calperch殿
ひぇーーー!
大変失礼しました。てっきりCalperch
さんは女性だと決め込んでおりまして、今ブログを覗いてびっくり。男性だったのですね!
あ、それともWifeを持つ女性だったりして・・・。(以前のブログに書きましたが、キニコの寮の世話をしてくださっているカップルは女性のカップルです。お子さんが二人いるのですが、それぞれの卵子と同じ男性の精子を使って、出産したそう・・・。)
とにかく、勝手に誤解しておりました・・・。
コメントを投稿