早く餌を食べさせてと、小屋の中に座ってクンクンうるさいジョダを尻目に、食器洗い機の中身を空にしながら、もし生まれ変わるとしたら、犬と猫と、どっちがいいだろうと考えを巡らせた。
自分が与える愛情以上の愛情は与えられず、楽しみと言えば食べることだけ。しかも来る日も来る日も同じドライフードで、気まぐれに与えられる人間様の残り物を、次はいつだろうと、空しい期待をしながら、それだけを楽しみに生きる毎日。
外に出るときは紐につながれ、徘徊する自由も与えられず、たまに同輩に出会って挨拶すれば、「うるさい!」とご主人様にしかられて、おしっこをする権利も、ご主人様の気の向くままの時間に合わせて、マーキングの本能に逆らって、一箇所でジャアジャア。
対して、いつでも好きなときに好きなところにいて、食べることもさほど楽しみではないから、気の向いたときに餌を口にすればいい。おなかが一杯なのに無理に食べることもないし、ご主人様がうっとおしければ、なでようとする手をくぐりぬけ、ぷいと場所換えすればいい。外に出たけりゃ、ふらーっと出て行けばいいし、外が怖けりゃ日柄一日家にいればいい。トイレの時間も指定されることはなく、誰気兼ねなく、思ったとおりに行動すればいい。気が向いたら、たまにご主人様に愛想を振舞うのもよし。
うーん、こう考えたら、断然猫だなぁ。
え?上の犬は一般的な犬の話じゃなくて、単にジョダのことだって?
そうか。ちっと不憫になって、餌入れに入ったジョダのドライフードの上に、最後の一枚になったスライスのスイスチーズを乗っけて、「OK!」と叫ぶ。
小屋から飛び出し、あっと言う間に平らげて、餌の容器も嘗め回している。
こういう至福の一瞬があるなら、犬も悪くないかなぁ。
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