2009年1月18日日曜日

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

というタイトルの本を読んだ。
コイオが会社の人から借りてきたのだが、取り上げて、一気に読んでしまった。

私がブログで時折触れる今のアメリカの歪んだ社会と政治。それを様々なエピソードや事実を織り交ぜて、おもしろおかしく簡潔に解説してくれている。テレビや新聞は、ある事件のある断面を細かく報道しても、過去の報道に含まれていた前後の話や背景までは書いていない。気の向いたときにしかテレビも新聞も見ない私のような者には、漠然としかわかっていないことが多い。そうした事件も、背景も含めて簡単に説明してくれたこの本で、随分すっきりした。

とにかく、アメリカの政治、社会の現状にご興味をお持ちのかたには、是非ご一読をお勧めしたい。

共和党とエバンジェリカルと呼ばれる福音派との関係、そしてこの二つが、いかにアメリカ社会を歪曲させたかが全体を通して書かれている。と言うか、歪みを書く上で、この二つなくしては語れないのだ。

高校時代に留学した家庭の宗派は、まさにこの本の中で「キリスト教原理主義」とまで呼ばれている、福音派の中でも最も右よりのサザンバプティスト。しかしそのコミュニティーに住み、その価値観の中だけで暮らしていると違和感を感じない。またその価値観を他人に押し付けることなく、価値観が同じ輪の中に留まっているなら諍いも起きない。ただ福音派の多くは「布教」を重要視している。良いものを外に広めたいという純粋な動機から来ているのだが、それが政治的に利用された。いや、教会と政治家の互いの利害が一致したのだ。

私の目からは、アメリカのお母さんを含め、信心深いサザンバプティストのクリスチャンたちも、言ってみれば犠牲者。洗脳され利用されているとしか思えない。右派メディアから歪んだ情報を与えられ、「これこそ真理、あんたたちは正しい」とずっと叩き込まれているのだから。(なんて言っても、お母さんは、歪んだ放送をしているのは3大メディアにCNNでしょ、と一歩も譲らないのだが。)

オバマ大統領の誕生まであと2日。次の4年間、はたまた8年間で、どれくらいゆがみが矯正されるのだろうか。是非是非頑張って欲しい。ホント、心から期待している。

ところで、2日ほど前のNYタイムズのコラムで、「ブッシュ政権の違法行為について、調査を行なうか」と
いう質問に対して、オバマ氏が「後ろを向いていては進歩しない。我々は前を見て進むべきだ」と語り、実質的には「調査しない」と答えたとあった。このコラムニストは、「過去の過ちを正さない限り、同じ過ちが繰り返され、進歩がないので、絶対に調査すべき」と書いていた。私も同感。いや、そんな大それた動機じゃなく、本当にアイツが嫌いで許せないので、アイツの数々の悪事は暴露すべきと思う。

「アメリカ人の半分はニューヨークの場所をしらない」
町山智浩 著
文芸春秋ペーパーバック
ISBN978-4-16-370750-1

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