2009年1月9日金曜日

時代錯誤か、天然記念物か

ニューヨークタイムズの記事。

アラバマ州のある刑務所の囚人たちは、ロクな食事が与えられずどんどん痩せて行っていた。原因は食事の管理を任されていたある保安官が、囚人たちの食費を削って、私服を肥やしていたからだ。

驚くのは、これが全く合法だと言うこと。この保安官は囚人ひとり1日当たり1ドル75セントの食費をけちりにけちって、3年間で21万ドル余りを儲けたらしい。今の囚人の数が300人らしいから、計算すると1.75ドルを1.10ドルに削っていたことになる。そもそも1日の食費が1ドル75セントと言うのが極めて少ないのに。

おなかを空かせた囚人の証言で、当の保安官は「囚人の世話を怠った」ため、投獄1日、反省書で改善提案を提出させられた。

この法律と言うのが、「1日ひとり当たり1ドル75セントの費用の残りは、管理している州の保安官が貰ってよろしい」と言うもの。

法律が改正されない限り、今後もこの問題を絶やすことはできないと裁判官は語る。ネットで見ると他の郡での同様の内容を、Associated Pressが去年の5月に報じている。

この州法が出来たのは1927年。

公民権運動のずっとずっと前のこと。当時アラバマ州にいた囚人のほぼ全員が黒人だったと容易に想像できる。黒人から搾取するのは当たり前のことだった。

ところがそれだけじゃなかった。実は「1日ひとり当たり1ドル75セント」と言う額も当時のまま! 当時としてはかなりの額。つまり、それだけ保安官が良い目をしていたということなのだが。

アラバマ州にある67の郡のうち、12郡が現在でもこのシステムを継続している。21世紀にもなって、まだそんな法律が生きているなんて、アラバマってホンマ、すごいところやわ。

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