2009年1月5日月曜日

パリ <驚き編>

今日からコイオの会社もシナコの学校も始まり、ようやく平常に戻った。とは言え、それはコイオとシナコに関する話で、私とキニコはまだまだ冬休みモード。ずっとパジャマ姿でだらだら。当分仕事の予定もなさそうだし、しばらくはこのダラダラが続きそう。

みんなが家にいると独りPCに向かうのもはばかられ、ブログも更新できず。今日からやっとブログだけは心置きなく書けます。

さて冬休みのパリ旅行について。

これほど堪能できた旅行はここしばらくなかったかも。予定したことも殆ど出来たし。また、常にブログねた探索モードになっているから、いろいろと観察して、驚いたり、感心したり、感動したり。

と言うわけで、10余年ぶりのパリの感想を項目別にご紹介しましょう。

<驚き編>

1.人が多い!

こんなにも人が多かったパリは初めて。夏休みのパリの観光客の多さは知っていたし、20年余り前ではあるが、パリのクリスマスや年末時期だって体験している。しかし、今回のパリの混雑ぶりは前代未聞。何故こんなに?

~ディズニー~

到着した25日はどこもお休みなので、確実に開いているディズニーランドへ。パリまで来て、何が悲しくてディズニーランド、とお思いでしょうが、そもそも我が家はディズニー好き。今回は中でも一番ディズニーびいきのキニコのたっての願い。少々の混雑なら想定内だったけれど、ファストフードを買うにも45分ほど並び、挙句に座る場所にさえ苦労する。シナコがうるさいので、乗りたくもないスペースマウンテンに、北風吹きすさぶ寒空の下80分間並び、挙句にジェットコースターに老体が揺さぶられ、気分も悪くなる。それにもめげず、次は予めファストパスを取ったロッキーサンダーマウンテンへ。しかし向かう途中にパレードとなり、どうにもこうにも反対側に渡れない。他のディズニーランドなら、随所にパレードの切れ目で渡してくれる箇所が設けてあるのに、そんな合理的なシステムはなかった。仕方なくパレードが終わるのを待つが、その後の混みようは空前絶後。ありとあらゆる方向に一斉に動き出す群集に恐怖を感じるほど。子供とはぐれた母親が子供の名前を呼び続ける悲愴な声がこだまする。

寒さと人の多さにぐったりして、22時の閉園よりずっとずっと早くパークを後にした。ま、25日は何処も閉まっているから、みんな考えることは同じなのだ、と思っていたが、あにはからんや。混んでいたのはディズニーばかりではなかった。

ところで開園当時はユーロディズニーと呼ばれていたのが、いまや名称はディズニーランド・パリに(フランス語風に言うならデスネロン・パリ)。「ユーロ」のイメージが貨幣になっちゃったからか。

~アンジェリーナ~

勤めていた会社の事務所があったリボリ通り。そこにある「アンジェリーナ」は、今回どうしても行きたかった場所のひとつ。日本では銀座プランタンに入っている。目的はここのモンブランとショコラショー(ホットチョコレート)。モンブランの底のメレンゲが、なんとも言えず美味しい。その昔、私がパリを離れる時、ヴァレリーがここのモンブランを握って空港に見送りに来てくれた。飛行機の中で涙を流しながら食べたなぁ。

アンジェリーナの前に来てびっくり。店の前に長蛇の列! 数人並んでいることは過去にもあったけれど、店の外に溢れているなんて。しかもその長さたるや10メートルはある。うっそー! でもここであきらめるわけにはいかない。30分ほど待ってようやく席に案内される。

以前、欲張ってモンブランとショコラの両方を一人で注文する過ちを犯した。あまりに濃厚な味に一人じゃ絶対に両方を制覇するのは無理。日本では日本人向けにハーフサイズのモンブランを置いているが、パリにはオリジナルのでかいサイズしかない。今回は4人なので、ショコラ1つにモンブラン2つを注文。おなかが空いていたからクロックマダムも2つ注文。クロックマダムはクロックムッシュー(いわばgrilled cheese sandwitchにハムを挟んだもの)の上に目玉焼きが乗ったやつ。私一人でモンブラン1つをペロリと食べたが、残りの3人は苦しそうであった。

私の記憶にあるショコラショーはもっともっと濃厚だった。でも出てきたものは意外にゆるかった。これだとマックス・ブレナーで一番濃いイタリアンホットチョコレートくらい。昔は冷えたショコラがカップにべとっと引っ付いて垂れないくらいだったと思うんだけど。

帰宅してから日本で買った旅行書を見ていたら、濃厚なのは「ショコラ・アフリカン」と言うらしい。昔はそう言う区分けはなかったのに・・・。

実は、いつものように、バカバカで、「文字ばかりのアメリカの旅行書よりガイドブックは日本に限る」と、せっかく日本で買って来たガイドブックを忘れて出かけたのである。飛行機の中で見ようと思っていたから、殆ど内容も把握せず・・・。ショコラ・アフリカン、飲みたかったなぁ。

~ベルサイユ~

ここでもチケットの購入に長蛇の列。それより、何より、中の混雑がすごかった。ベルサイユはコの字型をしているので、一方の端からもう一方の端までぞろぞろ歩く事になるのだが、外側が回廊、内側に部屋が広がり、その前にはロープは張ってある。つまり歩くところが狭い上に、皆が一方方向に進まねばならない。前の人が展示物や説明に見入って、はたまたオーディオガイドに聞き入って立ち止まると、後ろは動けない。部屋の随所に係員がいて、「立ち止まらないでくださ~い」「前進してくださ~い」と叫んでいる。背が低い私に見えるのは前の人の背中ばかり。幸い、ここの場合は建物の壁や天井にも見るべきものはたくさんある。が、どのみち、芸術音痴の私は一生懸命見る気もないのだが。

~ルーブル~

今回の混雑の最高はルーブル。入館に際してセキュリティーを通らねばならないのだが、その入り口前の列の長さたるや・・・。ディズニーランドのスペースマウンテン80分待ちに相当する長さだった。幸い中は広いので、混んではいても一方方向にしか進めない訳ではなく、他は飛ばして、目玉だけをちょこちょこ見て回ることができた。

モンマルトルでも、「こんなに人がおったんは初めて」とコイオと顔を見合わせるくらい。百貨店ギャラリーラファイエットも、あまりの人に、そそくさと出る。

マドレーヌ近くにあるお菓子屋さんラデュレ。マカロンがおいしい。買いたかったけれど、長蛇の列であきらめた。アンジェリーナのモンブランは唯一無二だけど、マカロンは他でもおいしいし。翌日アパートの近所のお菓子屋でマカロンを買って食べた。おいしかった。

それにしても何故ゆえこんなに人が? 景気が悪いと言っている割りには観光客が増えていることは確実。昔も並んだ場所はたくさんあった。しかし「元旦の初詣か!」と思うほどの混み具合は初めて。さらに日本人観光客は、過去と比べるととても少ない。その昔はどこもかしこも日本人だったのが、いまやチラホラ。英語もあまり聞こえてこない。驚いたことに最も頻繁に聞こえてくる言語はフランス語だった。ヨーロッパ人の観光客も多かったのが印象的。ユーロになってヨーロッパ内の旅行がし易くなったと言うのは頷ける。でもフランス人が多いと言うのがなんとも不思議だった。

2.高い!

~ユーロ~

とにかく何でも高い! 高くて、高くて、買い物好きな私も何にも買えなかった。ほんとに。

金遣いの荒いキニコですら、結局使ったのは、クリニャンクールの蚤の市での5ユーロのみ。

そもそも5つで10ユーロだったブレスレットを、私が「6つで10ユーロ」と頼んだら、お兄さんが「じゃ、7つにしてあげる。」「いえ。戦争になります。6つで10ユーロ」 お兄さんは不思議そうな顔でOKと言った。娘たちが選んでいる間、私は下手くそなフランス語を駆使しお兄さんとしゃべっていた。お兄さんが、「さっき戦争になるって言ったけど、どういう意味?」「だって7つじゃ、3と4になって、2人で割り切れない。だから戦争」「あーそう言うことか。じゃ、8つにしてあげるよ」「ありがと!」私はけんかになると言いたかったんだけど、そんな表現知らないし、guerre(戦争)しか思いつかなかったのだ。

一方シナコのほうは、普段は財布の紐が硬いのに、クリスマスプレゼントに2人それぞれに与えた100ユーロを全部使い切った。「せっかく来たんだから」と一見賢そうな意見だけど、どうやらコイツはこの頃買い物に目覚めたらしい。一昨日もお年玉握り締めてマンハッタンに友達と買い物に行ってたし。

本来は円高なので日本人なら少し前と比較して随分買い物しやすいと思うのかもしれない。でも我々はドルベース。ドルとユーロの交換レートは1.5対1.0。つまり1.5倍。でも物価を見みると、どう考えても1ユーロ=1ドルが妥当と言うところ。1.5倍にするとあまりの高さに手が出なくなってしまう。

アメリカを出る前に盗難対策にドルのトラベラーズチェックを作った。そもそもはユーロで作ろうと思ったのだが、アメリカの銀行は外貨の旅行小切手を扱っていないらしい。パリでの両替レートは、1ユーロ当たり1.5ドル以上。対してパリのATMでアメリカの銀行口座から直接現金を引き出す場合のレートは、手数料を入れても1.44ドルくらいだった。それに気づいて、結局小切手は使わず。

~税金~

フランスの消費税にあたる付加価値税のTVA(テーベーアー)。20余年前も10%以上だったと思うのだが、今やそれが19.6%! 日本で消費税の引き上げに反対とか言っているけど、元がたったの5%なんだから、どんなに上げても10%以上にはならないでしょうに。ちなみに、私は引き上げに賛成。財源がないのなら、借金するより消費税を上げればいい。但し、加工品や嗜好品を除く食品は非課税にすべき。

他国の付加価値税を調べてみてびっくり。19.6%なんて驚くに値しないんだ。20%以上もワンサカあるし、大半の国が15%以上。一桁の国の方がめずらしい。そんな希少な国をリストアップすると、最低がイランの3%。次いで日本とカナダ、パナマ、マレーシア、カナリア諸島の5%。7%台がシンガポール、タイ、スイス、だって。

~チップ~

な、な、なんと、フランスのレストランやカフェでの請求書が、いつの間にかチップ込みになっていた! ユーロ導入以来のことか? しかし請求書のどこを見ても「サービス料込み」の言葉は見つからない。知る人ぞのみ知る慣習か。

確かにカードで支払う際に、アメリカなら、食事代金とは別にチップを加える欄があるのに、それがなかった。あるレストランでウェイトレスに「チップはどうやって加えるの?」と質問すると、「現金にして。金額に加えるには、前もって言ってくれないと。でもそうすると経営者側に行くだけで、私たちはもらえないの。だから現金にしてね」 

ヴァレリーに教えてもらうまで、請求額に加えてチップを払っていたのだから、道理で何処に言っても「メルシー」だけじゃなく「ボクー」が付くはず。本当にサービスが良くて心づけを払いたいときは、「気持ち」の金額を現金で残せばいいんだって。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

あけおめ~。

楽しく読ませていただきました。
にしても・・・フランスのディズニーは閑散としている、という噂は嘘だったのね。
ベルサイユに人がぞろぞろ・・・想像できない(と言っても私が行ったのはあの、大4の時なのでうんとこさ昔だ)。

物価高いのね。そして税金も。

3月末に学会でイギリスに行くのでその時まで円高が続きますように・・・(ドル預金は目減りしまくってるけどこの際それはおいといて、当面使わなきゃいけない方優先)。

日本はなんだかものすごく物騒になってきています。1990年代にアメリカにいたときには(D.C.近辺は治安が決していい地域ではなかったので)「50ドルで人を殺すのか・・・恐ろしい国だ」と思っていたけれど、ここのところ起こっているタクシー強盗はたかだか2万円のために運転手が複数殺されてます。

どうなっちゃうんだろう、って不安を抱えている人がすごく多い昨今です。

Jodako さんのコメント...

日本のニュース報道を聞いていると、本当に気分が滅入るよ。

不思議なのはアメリカだって同じくらい解雇されて、失業者も多いのに、そうした報道がないこと。

失業者や求職者で報道されるのは、エリートばかり。元リーマンブラザーズだの、MBAを持ちながら今はタクシー運転手だの。

アメリカはみんなが契約社員だから、解雇されて失業するのはあまりに当たり前の話だから? なんだか不思議です。

そうなの。ディズニーランドに行くと言ったら、「そんなのまだあったの?」なんて言われたりしたのに。パリのディズニーは3回目だったけど、これまでも閑散としていたことは、実はなかったよ。しかし、あんなに混んでいたとは・・・。