2009年1月8日木曜日

愚問?

このところ、ずぅっと疑問に思っていることがある。

TVジャパンで見るNHKニュースで、連日仕事がなくなった派遣労働者の悲惨な状況を報じている。で、私が不思議に思うのは、何故アメリカでは、解雇されている労働者のことが、それほど取り沙汰されていないか、である。失業者の数じゃ、絶対アメリカの方が多いはず。

今日発表になったアメリカの失業率は7.2%、対して日本の失業率は3.9%(2008年12月26日総務省発表の11月時点の数字)。アメリカの労働省発表の2008年12月現在の16歳以上の失業者数は、約1100万人。対して日本の総務省発表の15歳以上の失業者数は11月現在で256万人。人口比が、日本1億3千万に対して、アメリカ3億なので、仮に日本の失業者数を倍にしても、アメリカの状況の方がはるかに悪いことが明確。

なのに、アメリカで解雇のニュースになっているのは、元リーマンブラザーズの社員が貯金で食いつなぎながら、職探しパーティーに参加している様子とか、まばゆい学歴の下に「年俸10万ドルで雇ってください」と書いたプラカードを首につるして、マンハッタンの街角で立っている人の姿、はたまたMBAを持ちながらタクシーの運転手をしている人とか、特殊な人の報道ばかり。

おびただしい数に上ると思われる解雇された普通の労働者のことが、何故取りざたされないのだろう? 

コイオの意見は、「アメリカはそもそも契約社会だから、違法でない限り問題視はされない。」

解雇されても文句は言えないし、この状況は今に始まったことではないからか。サブプライムローンが払えなくて、家を追い出されるという話は、これまでになかったことなのでニュース性があるが、契約労働者の解雇はニュース性がないと言うことか。

同じ質問を、アメリカに住む日本人の友達にぶつけたところ、とても納得のいく興味深い分析が返って来た。それを、そのまま紹介させてもらうことにする。

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私はアメリカではそれほど問題にならないのは、再生のチャンスが大きいからなんだと思う。

1.レイオフが日常的に行われている
2.転職が日常的に行われているので、再就職のハードルが低い(雇用の流動性がずっと高い) 
(日本は年齢制限がまだ合法だったりして、一度離職すると再就職がものすごく難しくなったりする。また、技術職でも会社が違うとそれまでの経験を買ってくれない場合多し。)
3.アメリカ人のほうが、社会的な救済措置が多いと思う(日本の福祉政策はよくわからないので推測)。
たとえばスープキッチンとかフードスタンプなどで食いつなぐことに慣れているし、それを恥とも思わない。日本だとそれを自分の恥と思う(悲惨と考える)傾向が強い。
4.持ち家率が高い。家さえあって、食料はフードスタンプで食いつなげばなんとかなる。あるいは、家を売って食いつなぐこともできる。(そのかわり貯蓄率が低いんだが・・・)
5.副収入を持っている人も多いし、奥さんが働く率も高そうだし、なによりも奥さんの収入レベルも日本の奥さんより高そう。日本の奥さんってパートやアルバイトレベルが多くない?
6.仕事がないから大学に入りなおすというオプションもある。日本にはほとんどない。

つまりは日本だと仕事に依存する割合が経済的にも精神的にも高いんだと思う。
一度レイオフされたら、もう人生終わり的な傾向が強いといいましょうか・・・。

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1と2については全くその通り。3の周りからの手助けや救済の機会が多いことと、それに素直にすがれる点も、確かにそうだと思う。4にしても、日本の家計に占める家賃やローンの割合は非常に高いから、仕事がなくなれば、翌日から支払いに困る。5も6も然り。

再生のチャンスが多い。だからこそ、こんな状況下でも、悲惨さを強調する報道が殆どないアメリカに対して、日本のニュースは暗さを際立たせるものばかり。経済の悪化をメディアが煽っているのじゃないかと思わせる。

今朝、テレビで大江健三郎さんがコメントしていた。「意思による楽観」が必要だって。その通りだと思う。努力して楽観的になる。必要なことだわ。期せずして同じようなコメントを一昨日も聞いた。日本のテレビ番組に出ていた元CBS?のプロデューサーか何か。「成功の秘訣は、楽観的であること。」

伊藤忠の社長がインタビューで、「わが社の財産は人です。だからできるだけ守る。朝の来ない夜はありません」と言っていた。「朝の来ない夜はない」と言う言葉に心から賛同。この言葉、どうやら吉川英治の使った言葉だそうだけど、今はまさにそう言うときじゃないかな。夜にしかできないことをしながら、じっと朝が来るのを楽観的に待つ。それが一番。ってことで、私はナイトクラブででも働こうかなー。

ところで、上記の友人のコメントに、一点だけ誤りがある。私もつい最近まで日本では年齢差別・性差別を容認した求人広告が許されていると思っていた。しかし2007年10月から(ま、つい最近ですけど)求人での年齢制限の禁止が義務化されていた! 試しにネットで求人広告を検索したら、確かに「30歳までの男性」なんて言葉は消えていました。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おはようさんです。
年齢制限・・・大学教員の募集では普通に書かれてるわ~、「40歳ぐらいまで」とか。書いてない大学もあるにはあるけど。

お友達の分析はほぼ当たっていると私も思います。ただ、転職についてはね・・・ほんとうに有能な人は結構な歳になっても転職できてるみたい。旦那の大学時代の同級生なんだけど(女子&同い年)、年賀状を見るたびに「また転職したんかぁ!」って感じ。今年も「この年で転職できるなんてやっぱり優秀なんやな」と話していたところ。

あと、やっぱり仕事を選んでるよね。アメリカみたいにMBA持ってるけどいい仕事が見つかるまでタクシーの運転手なんてことは日本ではないような気がします。(まぁ、いまタクシー業界は冷え切ってるんだけど。あと、タクシー運転するための免許とるのも大変だけどね)

少なくとも5年くらいは「じっとがまん」らしい。5年って言ったら長男はその間に就職・・・と思うとかわいそうな気がする~。モラトリアムな彼なのでもしかしたら「Ph.Dにいく」とかいいそうでそれはそれで怖いけど(一番の無駄遣いは私のPh.Dなんだけどね)。

Jodako さんのコメント...

有名無実化してるのかなぁ。罰則規定がないと、変わらないよね。オバタリアンじゃなくて、オンブズマンだっけ。そう言う求人広告をチェックして回る機関があればいいのに。