2010年4月19日月曜日

シナコの大学事情(11)

ノースカロライナはチャペルヒルのホテルです。
今日のUNCの見学会は1時ごろで終わってしまいました。

5校をすべて回り終わって、シナコが一言。「やっぱりUSCかWillam & Maryがいい」

と言うことで、マジで私の気持ちは沈みこんでいます。いえ憂いているというか、鬱々としていると言うか…。USCは要求額が通らない限りは無理で、恐らく答えはNOでしょうが、Willam & Maryに関してはギリギリで約束した線。今更前言撤回もできない。本当に4年間払い続けられるのだろうか。どれくらいしんどくなるのだろう。貯金をはたいて株も売らなきゃ…とか考えると、本当に暗くなります。

でも、ここまで来たら何が何でもUNCに行けとは言えない。そうすれば今後一生、自分の失敗は「ママが行かせたから」と口実にされてしまいそうだから…。

正直言って私自身も今回訪問した5校の中ではウィリアム&メアリーに一番好感を抱いたことは認めなければなりません。お金のことが関係なければ、ここがいいんじゃないとシナコに勧めたかもしれません。美しいキャンパス、小ぢんまりとして(学部生5800人)、公立だから華美でないし。授業内容も充実しているように思われました。

残念ながらと言うべきか、これも運命だったのか、今回のUNCの説明会は「入学を決めた人」対象だったためあまり充実した説明会ではありませんでした。と言うのも迷っている学生対象の見学会は11日と12日に予定されていたのですが、11日はコイオの帰国日に加えてフォーダム、12日はUSCだったため、こちらに参加する選択肢はなかったのです。それほど内容に差がないだろうと思ったのが間違いでした。

早々と入学を決められるのは、やはり州内の学生ですよね。授業料が安いと言うことが最大の決め手になるはずですから。最後まで迷っているのは、学費が決め手にならない州外の学生。と言うことで、今日の参加者はほぼ全員がNCの出身者。私が見た中で、名札にNCと書いていなかったのは、ただ一人「SC」の男の子一人でした。NCだと同じ高校から数人が受かっているケースが多いので、友達同士で参加している子達が大半。みんなが楽しそうにグループになっているなかで、シナコはぽつんとハミゴっぽい。

入学を決めている人が対象なだけに、学校側の「セールストーク」はなく、授業に関する説明を聞く機会もなく、健康保険、安全対策や寮生活についての説明のみでした。後は入学者に大学のスピリットを示そうと、日本で言えば応援団の団長がバンドと一緒に校歌や応援歌を披露した後、応援団への入団勧誘。応援団長のトークはコメディアン並みに面白くて、これはこれで良かったです。入学を決めている人なら、ますます気分が盛り上がったでしょう。ライバルはどうやらお隣のDuke。Dukeは今年の男子バスケット優勝校。UNCは去年の優勝校ですから。(最後の1行に注目。)

説明後は、公開されている寮の一部屋を見ました。迷っている学生対象なら、最も良い寮の一室を見せたのでしょうが、入学を決めている学生だから、逆に期待させないために一番人気のない寮の部屋を見せたのじゃないのか…とちょっと思ってしまいました。シナコが「やっぱりUSCかWillam & Maryがいい」と言ったのは、寮を見た後でしたから。寮生活に慣れていたキニコは、どこも大差ないと、あまり寮のことなんて気にしていませんでしたが、はじめて寮生活をするシナコには、やはり寮は大きな決め手になるのか。(ちなみにどこの学校でもこうして寮を公開する生徒は、たいていそれと引き換えにお金がもらえます)

その後もらった無料ランチ券で学食でランチを食べました。食事はおいしかった!「ごはんがおいしいのは何よりだよね」と言った私の言葉もシナコの耳には届かなかったか。

UNCはマンモス校(18000人)で、キャンパス内を公道が走っています。一部は林の中にあって、緑があってとてもきれいです。でもマンモスという印象はぬぐえない。キニコのトロント大もそうですけどね。普通の州立大学と言ったイメージです。(でも前回来た時に説明ではクラスサイズは公立にしては随分小さかった。)





学校の名前を写真に収めようとしたら何故かオハイオステートのスウェットを来た人が走ってきた…。
校内に幾つかスタバがあります。
図書館です。

土曜日に訪問したウィリアム&メアリーは「迷っている人」対象の説明会。朝から夕方までスケジュールびっしり。開会前はチアリーダが踊りを披露。(スクールカラーが緑と黄色っていうのがなぁ。UNCの水色と白の方がいいと、シナコもこれは認めている。)

W&Mも今年はここ20年間で最高の受験者数だったとのこと。1400人の枠に1万2千人の応募があったそう。「受験者数が最高記録」と言うのは、回ったどこの大学でも聞いた。これは生徒の数が増えたのではなく、共通願書ができたこと、オンラインでの申込みが可能になったことで、一人当たりの受験校の数が増えているからに違いない。(わが子も12校ですから…。)

申込み費用でさぞや大学も儲かっていることだろうと思っていたけれど、どうやらそれは誤まった見方だったよう。1週間ほど前のNY Timesに「補欠」に関する記事が出ていた。特にデュークの記事が中心だったが、デュークではここ2年間に受験者集が30%増加。1学年1700人ほどのところを4000人の合格者を出し、さらに去年より856人増やして3382人を補欠にした。デュークの読みが正しければ、この補欠の中からわずか60人ほどが合格になるとか。あまりに願書の数が多すぎて時間切れになったのも、補欠の人数が増えた一因だとか。

話がそれたけれど、私の印象は、こうして受験者が増えたものの、実は受かる子は軒並受かる。つまりそのレベルに達していれば、一様に受かり、達していなければ落ちる。つまり下手な鉄砲も数うちゃ当たらない。わが娘たちが良い例を示してくれている。サプライズはないのだ。それゆえ大学側も多くの辞退者が出ることを予想しているのですね。

ウィリアム&メアリーで、たまたまお昼の時に一緒になった女の子。シカゴ大、ノースウエスタン、コーネルに合格し、ダートマスは補欠。滑り止めの2校も勿論合格。「W&Mなんて誰も聞いたことないんだけど…」と言いつつ、ほぼW&Mに行くことを決めていた。本当はコーネルに行きたいのだが、経済的な理由であきらめていた。奨学金はどの学校からもゼロ回答で、唯一コーネルだけに「じゃあ特別な事情を説明してそれを証明するものを提出してください」と言われたものの、希望薄とお母さんは言っていました。特別な事情と言うのは、弟二人が自閉症。「双子?」と聞いたら、そうだと言っていました。もう16歳で養護学校に通っているそう。ベビーシッターやセラピーにお金がかかるとのこと。でも税金で認められている医療控除対象のもの以外はシカゴ大は認めないと言ったそう。(ところで自閉症が遺伝に関する病気といわれるのは、一卵性双生児の場合は必ず2人とも自閉症だから。)

その子も体操をしていること、専攻は生物を考えていることで意気投合して、午後は一緒に回ってみました。ウィリアム&メアリーではプログラムが複数に分かれていて、自分で興味のある物を都合にあわせて見に行くようになっていました。シナコは、まずは芸術のプログラムの説明会でさまざまさな音楽の授業についての説明を受け、午後はキャンパスツアーの後、学生のパネルによるQ&A、そして生物の授業の説明でした。

歴史的建造物が多く残る観光地ウィリアムズバーグの中にあって、ジョージワシントンやトーマスジェファーソンが卒業生というこの大学は、建物も美しく、緑も美しかったのですが、シナコは花粉アレルギーでくしゃみばかり。(同じく緑が多いUNCでもくしゃみと鼻づまりで困っておりました。)


この建物が寮。



確かに良さそうなんですれど。
でも、シナコはこれまでどこに行っても、行った先ではハッピーだから、どこでもハッピーになるとは思うものの、Gut feelingってのは尊重しないとアカンのかな…。

3 件のコメント:

レモン さんのコメント...

はじめまして、カリフォルニアのレモンと申します。うちの息子も進学先を考えているところです。

UC Davisのウェイティングリストに5000人もいるのはどうして?と思っていましたが、このブログの「あまりに願書の数が多すぎて時間切れ」というくだりを読んで、「なるほどー」と笑ってしまいました。

Jodako さんのコメント...

大学側も大変なんでしょうね。アメリカと日本の受験プロセスを比較して、高校生活の全般を合否基準としている(少なくとも建前上は)アメリカと、入試での一発勝負の日本とでは、アメリカの制度の方が良いだろうと思っていましたが、大学側の選考の負荷も含めて全般として考えると、どっちが良いのかわからなくなって来ました。入試だけのほうが簡単に合否が出ますものね。
ウェイティングリストの人数が増えているのは、それだけ辞退者の数も増えているからだと思います。つまり重複しての合格者が覆いよ言うこと。
息子さんが進学先を考え始められたと言うことですが、我が家の失敗を申し上げますと、申込みをする段階できちんと話合いをして、相応が合意したところを受験対象とするべきでした。合格してから、「え、そこは無理・・・」となると、こじれますから。でも奨学金がどこまで出るか前もってはわからないですからね。この辺も、前もって、幾らまでなら出せるという条件を息子さんにきちんと伝えていらっしゃると違うかもしれません。要らぬおせっかいだったらごめんなさいね。

レモン さんのコメント...

Jodakoさん、貴重なアドバイスを大変ありがとうございます。次の、二人目の子の大学受験で、参考にさせていただきます!